...またたわいなく眠りに落ちて行くように...
有島武郎 「或る女」
...葉子はすぐ走って行って倉地の胸にたわいなく抱かれた...
有島武郎 「或る女」
...二人はまたたわいなく笑った...
有島武郎 「或る女」
...三突きほどでたわいなく舟は向こう岸に着いた...
有島武郎 「或る女」
...草鞋がたわいなく踏み応えのないふかふかしたような地面を踏んだ感じを覚ゆることがある...
飯田蛇笏 「茸をたずねる」
...たわいなく事件は經過し去りました...
石川三四郎 「浪」
...たわいなく見えながらも...
太宰治 「右大臣実朝」
...かう書きながら、私は幽かに苦笑してゐるのであるが、深浦といひ鰺ヶ沢といひ、これでも私の好きな友人なんかがゐて、ああよく来てくれた、と言つてよろこんで迎へてくれて、あちこち案内し説明などしてくれたならば、私はまた、たわいなく、自分の直感を捨て、深浦、鰺ヶ沢こそ、津軽の粋である、と感激の筆致でもつて書きかねまいものでもないのだから、実際、旅の印象記などあてにならないものである...
太宰治 「津軽」
...たわいなく泥酔(でいすい)してしまうのである...
谷崎潤一郎 「鍵」
...その作者の見た事実の中に余りたわいなく伴(つ)れられて行きすぎるやうな不満と不平とを...
田山録弥 「小説新論」
...この場合にこの人たちをこんなにたわいなく笑わせているのは談話の内容よりもむしろこれらの人の内的外的な環境条件ではないかという気がした...
寺田寅彦 「三斜晶系」
...鼻汁(はなじる)といっしょにたわいなくこぼれる涙に至っては真に沙汰(さた)の限りである...
寺田寅彦 「自由画稿」
...手を放せばたわいなく倒れてしまふらしい...
永井荷風 「買出し」
...衆がたわいなく喜び興ずること...
中里介山 「大菩薩峠」
...身体(からだ)も魂も塩を懸(か)けた海鼠(なまこ)のようにたわいなくなった...
夏目漱石 「坑夫」
...何てたわいなく欺されてゐたことでせう...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...たわいなく眠りこけていました...
ペロー Perrault 楠山正雄訳 「眠る森のお姫さま」
...あの童顔を一層たわいなく嬉しそうに崩す工合...
山本笑月 「明治世相百話」
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