...疾駆われ見てありぬ四月の晨(あした)とある農家の厩口(うまやぐち)より曳出さるる三歳駒を馬のにほひは咽喉(のど)をくすぐり愛撫求むる繁き足蹈(あしぶみ)くうを打つ尾のみだれ美し若者は早鞍置かぬ背にそれよ玉揺(たまゆら)わが目の前を脾腹光りてつと駆去りぬ遠嘶(とほいなゝき)のふた声みこゑまだ伸びきらぬ穂麦の末にわれ見送りぬ四月の晨...
伊東静雄 「詩集夏花」
...わらべとをとめよりそひぬただたまゆらの火をかこみ...
富田常雄 「面」
...たまゆらを閃くものであるというのはそれである...
中井正一 「美学入門」
...いまはなか/\に心も落ちゐたれば單衣になるとりいでゝ肌に冷たきたまゆらはひとへの衣つく/″\とうれしくつろぐと足を外に向けころぶせば裾より涼し只そよ/\とさやげども麥稈帽子とばぬ程みむなみ吹きて外はすが/\し暑きころになればいつとても痩せゆくが常ながら...
長塚節 「長塚節歌集 下」
...一時の名声も陽炎のようにたまゆらにして消え去って行った...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...脣(くちびる)に臭ぞ殘る放埒の慾心のあさましく汚らはしああ悔恨は死を迫るつと起き出でてよろよろとたんすを探る闇の中しかはあれ共ピストルを投げやりてをののきぬ怖れぬ床に身を臥(ふ)してそのたまゆらに狂ほしく稚子のやうにも泣き入りぬさはしかすがに事もなく夜の明けたるを悦びて感謝の手をば合せぬる...
萩原朔太郎 「宿醉」
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長谷川時雨 「九条武子」
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長谷川時雨 「九条武子」
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林芙美子 「新版 放浪記」
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三好達治 「短歌集 日まはり」
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三好達治 「故郷の花」
...そういうたまゆらの悸乎としたものは再び彼を捉えて...
室生犀星 「津の国人」
...たまゆらの我が天国延喜十八年の晩春の一日(あるひ)...
吉川英治 「平の将門」
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