...いま試運転が終ろうというのに、ただの一回も、非常警報の警笛をきかない...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...ただの一度もありゃしないのであります...
海野十三 「怪塔王」
......
高見順 「死の淵より」
...そして地図上のただの線でも...
寺田寅彦 「アインシュタインの教育観」
...ただの文化財として...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...大和の国の野原にすむ狐の皮で張つたただの鼓が恩愛の情にひかれてわが子を思ふ声をだしたといふのである...
中勘助 「銀の匙」
...全くただの人間として大自然の空気を真率(しんそつ)に呼吸しつつ穏当に生息しているだけだろうと思う...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...かくのごときはただの命令で出来るものでないこれは何か日本人の教育の然らしむる所があるに相違ないと思って日本人の心理学に付いて研究を始めたが...
新渡戸稲造 「教育家の教育」
...ただの横笛ですよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...二番目の監視人――まったくのところただの監視人にすぎないはずだが――の腹がしょっちゅう...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...決してただの衝突の結果だとは思われません」九十六号の運転手が警官の臨床訊問に答えたのは...
平林初之輔 「鉄の規律」
...ただの一刹那(せつな)だ...
三好十郎 「好日」
...あまり小ちやい奴はただの紐みたいで面白くない...
室生犀星 「末野女」
...老年であり、日本左衛門の腕ではあり、ただの一刀でも、たまろうはずはありません...
吉川英治 「江戸三国志」
...われわれをただの浪人者(ろうにんもの)と思いおるか...
吉川英治 「神州天馬侠」
...ただの吠え方ではない...
吉川英治 「宮本武蔵」
...さすがに花の王者といわれるだけあって、枯れ木となって薪にされても、ただの雑木とは、この通り違うところを見ると、質の真価というものは、植物でも人間でも争えないもので、生きている間の花は咲かせても、死してから後まで、この牡丹の薪ぐらいな真価を持っている人間がどれほどありましょうか? ――と、吉野は話し終って、「そういう私なども、生きている間はおろか、ほんの、若いうちだけ見られて枯れて、後は香(におい)もない白骨になる花ですけれど……」と、淋しげに微笑(ほほえ)んだ...
吉川英治 「宮本武蔵」
...それはもうただの風景だけではなく...
笠信太郎 「乳と蜜の流れる地」
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