...矢部はたじろぐ風も見せずに平気なものだった...
有島武郎 「親子」
...アノ卓子(テーブル)を俺が別の場所へ取除けちやつたら怎(どう)だつたらう? 女は二三歩後にたじろぐ...
石川啄木 「病院の窓」
...すこし無躾(ぶしつけ)なくらいにまじまじと風態(ふうてい)を見すえるとその男はべつにたじろぐ気色(けしき)もなくよい月でござりますなとさわやかなこえで挨拶(あいさつ)して...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...「おう――」絶望の叫びで土方は島田のために太刀を打ち落されてたじろぐところを...
中里介山 「大菩薩峠」
...たじろぐ眼の前へ夜霧の煙幕...
野村胡堂 「幻術天魔太郎」
...たじろぐ隙に平次は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...たじろぐ隙(すき)に擦り抜けると...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...たじろぐ色もなく真名古の方に走り寄って来る...
久生十蘭 「魔都」
...たじろぐ浜川――「長崎屋...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...たじろぐところが生じるのですね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...それらの品を見てもたじろぐようすは少しもなかった...
山本周五郎 「季節のない街」
...軽き眩暈(めまひ)に身はたじろぐ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...「船頭、何をたじろぐ...
吉川英治 「私本太平記」
...たじろぐような眉をした...
吉川英治 「新書太閤記」
...あいにくのおりと、立ちたじろぐ...
吉川英治 「随筆 新平家」
...たじろぐ隙に、弦之丞は、死骸のつかんでいる鞘をとり、それを下段に、白刃を片手上段に持って、四、五たび廃寺の廊下を駆け廻っていたが、やがて、お綱の姿をチラと見て、庫裏(くり)の裏手へ飛び下り、大竹藪の深い闇へ、ふと、影をくらましてしまった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...医師団の質問にたじろぐことなく一言も漏らさないでいたのだ――そう...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...苦痛にドーブレクのたじろぐ暇に得たりとばかりルパンは身を起して奮然彼の喉に突きかかった...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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