...少し怪訝(けげん)そうに葉子のいつになくそわそわした様子を見守る青年をそこに捨ておいたまま葉子は険しく細い階子段(はしごだん)を降りた...
有島武郎 「或る女」
...そわそわしながら...
海野十三 「爆薬の花籠」
...ひどくそわそわしはじめたのでございます……」夫人が一寸言葉を切ると...
大阪圭吉 「死の快走船」
...俺をそわそわさせていた...
高見順 「いやな感じ」
...えらいそわそわしやはりまして...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...頼むわ」藤三はそわそわと片隅に桶を積み始めた...
富田常雄 「刺青」
...お父さんはそわそわして...
豊島与志雄 「二つの途」
...急にそわそわとして...
中里介山 「大菩薩峠」
...「人間の生きて行く道よりは、畜生のいきて行く道の方が、気兼ね苦労というものが、かえって少ないのじゃありますまいか、ねえお嬢さん」「何ですって、おじいさん――もし人間の生きて行く道が、つまらない気兼ね苦労ばかりいっぱいで、畜生の道が素直で、安心ならば、わたしはいっそ……」「何をおっしゃります、お嬢さん、それが、あなた方のお若いところです……あの白山へ登るよりは、この白水谷を下る方がずっと楽には楽なんですがね」と言って老人は立ち上り、砂上に置き据えた鎧櫃(よろいびつ)に手をかけた時、お雪が急に、そわそわとして、「おじいさん――まあ待って下さい、急に気がかりなことがありますから、その鎧櫃の中を、ちょっとでいいからわたしに見せて下さいな、今になって気がつくなんて、ほんとに、わたしはどうかしています」六お安い御用と言わぬばかりに、弥兵衛老人が鎧櫃の蓋(ふた)を取って見せると、井戸の底をでも深くのぞき込むように、お雪は傍へ寄って、「わたしが頼んでおきましたのに、今まで忘れていました、さぞ、御窮屈なことでしたろうにねえ」鎧櫃の中には、人の姿がありありと見えているのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...多少そわそわし出して...
中里介山 「大菩薩峠」
...寒月は何となくそわそわしているごとく見えた...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...横網の方へ――妙にそわそわしながら辿(たど)りました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...彼女の様子は余計にそわそわしているように見えた...
平林初之輔 「誰が何故彼を殺したか」
...道綱が何かそわそわとして黙って一通の文を届けてくれたのは...
堀辰雄 「ほととぎす」
...大きな児はそわそわしていた...
本庄陸男 「とも喰い」
...そのくせ参吉のいるあいだはそわそわとおちつかず...
山本周五郎 「落葉の隣り」
...そわそわ眠りながらし出すほど由良はいつの間にか花江としたしくなってしまった...
横光利一 「馬車」
...却ってそわそわと狼狽(ろうばい)したほどだった...
蘭郁二郎 「鉄路」
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