...それでもなお時として...
芥川龍之介 「毛利先生」
...男の方も、彼女がそれと分った頃には、うすうす見当が付いて来たらしく、俄にバツの悪い様子で横の方を向き始めたが、それでもなお、半ば疑うものの如く、此方の隙(すき)を窺(うかが)っては極めてこっそりと、繰り返し繰り返し流眄(ながしめ)を使っているのであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...「さあ、どうぞお引き取りを」と、重ねて主が促すと、人々の間に漸くざわめきが湧き上ったが、それでもなお、あっさりその場を出て行った者は幾人もいなかった...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...それでもなお同じ蜜蝋は存続しているのか...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...それでもなお、諸君が悪をなすのを防がねばならないのだ……...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...それでもなお歩いていると...
豊島与志雄 「憑きもの」
...それでもなお彼は...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...それでもなおどこか釈然としないものを残したまま...
中島敦 「悟浄出世」
...それでもなおどんどん水準が下って行く...
久生十蘭 「海難記」
...それでもなお夫人の自己省察の糧となるようなものを...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...それでもなお写象によって判断したいのなら...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...そういう死には犠牲の壮烈と美しさがあるかもしれないが、それでもなお、生きぬいてゆくことには、はるかに及ばないだろう...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...「これッ、面を上げんか!」堀尾茂助も云い、家臣たちが、側から叱咤(しった)したが、それでもなお、彼は雑巾(ぞうきん)のように、べたと、顔を伏せているきりだった...
吉川英治 「新書太閤記」
...それでもなお私には百巻(かん)の書を読むに勝(まさ)るものがあった...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
...世は、寛平年代から、末世(まっせ)なのであり、今日の世のみだれも人間の堕落も、何のふしぎでもありはしない」こういう声は、徐々に、巷に聞えだし、上流層も庶民も、ひと頃からみれば、よほど自己の信仰に、懐疑し出してはいたけれど、それでもなお、素朴なる知的水準にあるこの国の上では、およそ仏陀の鐘の音みたいに、無条件に衆を跪伏させてしまうほどな魅力あるものは、他になかった...
吉川英治 「平の将門」
...又八っ」それでもなお...
吉川英治 「宮本武蔵」
...それでもなお、ダンブル仕事は、よかった...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...それでもなお言葉をついだ――「ことに...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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