...その都度家計向(うちむき)の補助(たすけ)を得てゆくので...
石川啄木 「鳥影」
...その都度(つど)様々の人物に変装して...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...その都度江戸の水は不味(まづ)くて飲めないからといつて...
薄田泣菫 「茶話」
...その都度その金額分(ぶん)だけこの動物のある部分を抵当にいれていくということは不便であり...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...先代萩というのは、ご存知の如く仙台の伊達藩(だてはん)のお家騒動らしいものを扱った芝居で、榴(つつじ)ヶ岡(おか)の近くに政岡(まさおか)の墓と称せられるものさえある程だから、この芝居も昔から仙台ではさだめし大受けであったろうと思っていたが、あとで人から聞いたところに依(よ)ると、それは反対で、この芝居は、旧藩時代にはこの地方では御法度物(ごはっともの)だったそうで、維新後になって、その禁制もおのずから解けて自由に演じて差支(さしつか)え無くなったとはいうものの、それでも、仙台市内では永くこの芝居は興行せられず、時たま題をかえて演ぜられる事があっても、その都度、旧藩士と称する者が太夫元に面会を申し込み、たとえ政岡という烈婦が実在していたとしても、この芝居全体の仕組みは、どうも伊達家の名誉を毀損(きそん)するように出来ている、撤回せよ、と厳重な抗議を申し込んだものだそうであるが、さすがに明治の中ごろになったらそんな事はなくなり、同時に、仙台の観衆もまた、この芝居を、自分たちの旧藩の事件を取扱った芝居だからと特別の好奇心で見に来るという事もなくなって、もうそのころから、どこの国の事件だかまるで無関心、ふつうのあわれなお芝居として、みんな静かに見物しているだけというような有様になったらしい...
太宰治 「惜別」
...その都度(つど)都度に召使に...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...その都度、彼は伺いますと約束するのだったが、すぐけろりとその約束を忘れてしまった...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...そしてその都度、青年はそばを通り過ぎながら、一種病的な臆病な気もちを感じた...
豊島与志雄 「作家的思想」
...その都度(つど)...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...自然的生においてはその都度の現在はあるも一切を包括する現在は無い...
波多野精一 「時と永遠」
...ミツシヱルのアパルトも幾度か尋ねてはみたが、その都度留守で、会へない時が多かつた...
林芙美子 「瑪瑙盤」
...娘づきの女中がその都度(つど)そっと小僧に頼む...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...その都度荻窪へも立ち寄られた...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...その都度しらべてかかる場合も少なくなかったのだろうが...
正岡容 「我が圓朝研究」
...演題もその都度変えては臨んだが...
三澤勝衛 「自力更生より自然力更生へ」
...その蓋は外から締めるやうになつてゐるのでその都度己は天幕の屋根の上に登らなくてはならない...
コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳 「樺太脱獄記」
...その都度、それと交換条件に、租税や民政などに、特殊な例外を許したのが、いつとなく堺港をして自治体の特権地域にしてしまったのである...
吉川英治 「新書太閤記」
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