...「壮二君、きみはその時分、まだあんよができるようになったばかりでね、ぼくの勉強部屋へ侵入して、机の上をひっかきまわしたりしたものだよ...
江戸川乱歩 「怪人二十面相」
...けれどもその時分の私は...
鈴木三重吉 「金魚」
...――その時分の事も朧気(おぼろげ)には記憶しております...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...ところがちょうどその時分に使(つこ)てたのんが...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...そいからその時分にあのいつぞやの観音さんの絵エ出来(でけ)上りましたので...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...それでもその時分はもう初夏に近い頃でした...
田山録弥 「一少女」
...このジョージ屋はその時分は他(ほか)の人の経営でございました...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...その時分になると庸太郎は小夜子と同伴でない限り...
徳田秋声 「仮装人物」
...もうその時分から...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...その時分の南の仕置場は...
中里介山 「大菩薩峠」
...その時分、舞台では海土蔵の弁慶がますます発揮し、富樫の施物(せもつ)を受取って、一同この関を通り抜けようとする...
中里介山 「大菩薩峠」
...その時分すでに私の妻(さい)の悪口を云ったものがあるんですか」「いろいろ女の悪口があるが...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...虚を狙って成功する――その時分...
長谷川時雨 「旧聞日本橋」
...これはその時分(じぶん)河内(かはち)の役人(やくにん)から朝廷(ちようてい)へ報告(ほうこく)した事實(じじつ)でありまして...
濱田青陵 「博物館」
...その時分、私の読書の範囲は主としてドイツの哲学書であって、広くフランスのものにまで手が廻らなかったが、フランスの文学や思想に憧憬を感じ、外国に留学した時にもパリに行くことを考えたのは、深田先生の感化によることである...
三木清 「読書遍歴」
...その時分に、まだ菊人形があったのかどうか覚えていないが、狭くって急な団子坂をのぼって右へ曲るとすぐ、路の片側はずっと須藤さんの杉林であった...
宮本百合子 「からたち」
...その時分に念仏講というものが非常に流行ったものである...
柳田国男 「故郷七十年」
...その時分を、この安土では、さながら盆と正月を、一度に迎えたような賑(にぎわ)いで、全城全市、盛装していた...
吉川英治 「新書太閤記」
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