...十二月は僕は何時(いつ)でも東京にゐて、その外(ほか)の場処といつたら京都(きやうと)とか奈良(なら)とかいふ甚(はなは)だ平凡な処しかしらないんだけども、京都へ初めて往(い)つた時は十二月で、その時分は、七条(しちでう)の停車場も今より小さかつたし、烏丸(からすまる)の通(とほり)だの四条(しでう)の通(とほり)だのがずつと今より狭(せま)かつた...
芥川龍之介 「一番気乗のする時」
...その時分の気持ちと...
上村松園 「想い出」
...その時分のことで...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...その時分には、木彫の方でも油土で原型を拵えさせ、それを木で彫らせるという風になっていた...
高村光太郎 「回想録」
...その時分珍しい頼まれた事件あって...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...その時分になると...
田山花袋 「日光」
...私達の若い心はその時分すでにそうした新しい文学に向って夥しく波を打っていた...
田山花袋 「日本橋附近」
...その時分にはもう乘客は殆ど何處の船室にも...
近松秋江 「湖光島影」
...その時分の彼はたとえ少々の病気ぐらいにかかっても...
寺田寅彦 「球根」
...その時分の小使い帳...
徳田秋声 「黴」
...その時分には初夏の長い日もそろ/\たそがれかけて...
永井荷風 「勲章」
...その時分に比すれば大名小路(だいみょうこうじ)の跡なる丸(まる)の内(うち)の三菱(みつびし)ヶ原(はら)も今は大方赤煉瓦(あかれんが)の会社になってしまったが...
永井荷風 「日和下駄」
...兄さんの頭はその時分から少しほかの人とは変っていました...
夏目漱石 「行人」
...そのモーニングを着てどこへ行ったと思いますか? その時分は今と違(ちが)って就職の途(みち)は大変楽でした...
夏目漱石 「私の個人主義」
...その時分であったら...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「剣のうた」
...その時分、わたしは、「伸子」の中に佃としてかかれているひとと生活していて、夫婦というもの毎日の生きかたの目的のわからない空虚さに激しく苦しみもだえていた...
宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)」
...その時分は、佐藤春夫の祖父や父が詩文や絵の愛好者であるというのをうらやましいように思ったものよ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...その時分に肺炎をやったりしたのが今でも祟って...
若杉鳥子 「雨の回想」
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