...しかし汽車はその時分には...
芥川龍之介 「蜜柑」
...その時分(じぶん)の不安(ふあん)...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...ナニその時分(じぶん)の記憶(きおく)を物語(ものがた)れと仰(お)っしゃるか……随分(ずいぶん)遠(とお)い遠(とお)い昔(むかし)のことで...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...なにしろその時分に仲間の家で開かれていた集会の席ででした...
伊藤野枝 「ある男の堕落」
...ちょうどその時分...
谷崎潤一郎 「細雪」
...まあその時分は、戦国のことゝて彼方此方(あちらこちら)にかっせんのたえまはござりませなんだが、いくさがあればそれだけにたのしいこともござりまして、殿様が遠く御出陣あそばしていらっしゃいますと、お女中がたはなんの御用もないものですから、つい憂さはらしに琴などを遊ばしますし、それから又、ながの籠城のおりなどは気がめいってはならぬと云うので、表でも奥でも、とき/″\にぎやかな催しがあったりいたしまして、そう今のひとが考えるほどおそろしいことばかりでもござりませなんだ...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...「城ツて言つても、その時分は、館(やかた)なのだから――」こんなことを独言(ひとりごと)のやうに言つた...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...その時分に書いた絵見たいなものだのがあるんださうだ――」「そんなもの見てどうするの?」「別に...
田山録弥 「モウタアの輪」
...自分ももうその時分の委しいことは大方忘れているが...
近松秋江 「霜凍る宵」
...銀子の父親はちょうどその時分...
徳田秋声 「縮図」
...その時分は學問と趣味と兩方から古代の器を見るやうになつた...
内藤湖南 「近代支那の文化生活」
...丁度その時分からで...
永井荷風 「葛飾土産」
...その時分には竜之助はあまり吉原へは立入らなかったようです...
中里介山 「大菩薩峠」
...その時分は杉浦さんも二十八位でまだ若かったから暴論を吐いて文部省を弱らせたのでしょう...
夏目漱石 「模倣と独立」
...その時分同人雑誌の会合が毎月一度宛あつて...
牧野信一 「父の百ヶ日前後」
...あのスオウで染めた木綿布をその時分はスオウとはいわずに茜染といって居った...
牧野富太郎 「植物記」
...論説を書いた人々は社会の木鐸であるというその時分愛好された表現そのままの責任と同時に矜持もあったことだと思う...
宮本百合子 「明日への新聞」
...その時分、男は病院つきの附添としてまる二か月この女とずつと接近した仕事をして貰つてゐたが、彼女は何時も男のしたしまうとする機會をうまく避けて、附添婦だけの立場を眼に見える程に固守した...
室生犀星 「はるあはれ」
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