...その時分わたしの祖母はまだ達者であったが...
魯迅 井上紅梅訳 「村芝居」
...その時分の勢(いきおい)からいうと...
高浜虚子 「俳句への道」
...まだその時分ようよう十ぐらいだったのでござりまして父はわたくしを子供とみとめずにはなしたのでござります...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...妙子はその時分も舞を習わせられていて...
谷崎潤一郎 「細雪」
...「その時分に、細君の実家の子供が激烈な感冒に罹って神田のS病院へ入院することになりました...
谷崎潤一郎 「途上」
...そいからその時分にあのいつぞやの観音さんの絵エ出来(でけ)上りましたので...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...今はすつかりその時分とは趣が変つた...
田山録弥 「新しい生」
...その時分のさまを眼のあたり見るやうに生々と書いてある...
田山録弥 「西鶴小論」
...だらしがないのはその時分から...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...その時分辺鄙な山の手の...
永井荷風 「冬の夜がたり」
...十その時分、根岸に住んでいたお絹が、今日は小女(こおんな)を連れて、どこの奥様かという風をして、山下を歩いて帰ります...
中里介山 「大菩薩峠」
...とにかく私は自己を失つた! 而も私は自己を失つたとはその時分つてはゐなかつたのである! 私はたゞもう口惜しかつた...
中原中也 「我が生活」
...私がその時分南麟から教(おす)わったのか...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...その時分私は町内の錢湯へ行つて居ましたよ」「錢湯?此家(ここ)では風呂は立ちませんか」と平次...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その時分に山野へ行くとそこここでこれに出会いその攅簇(さんそう)せる白花がよく眼に着く...
牧野富太郎 「植物記」
...その時分はニージュニ・ノヴゴロドに...
宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
...その時分は台湾の総督府で仕事さして頂いておりましたが...
夢の久作(夢野久作) 「人間腸詰」
...やがて「東京毎夕新聞」の学芸部に入ったのが三十歳頃でしたが、その時分、ちょうど倉田百三氏の「出家とその弟子」だとか、その他親鸞に対する一般認識が非常に高まっておりました...
吉川英治 「親鸞の水脈」
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