...丁度その折を選んだ様に...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...それならば私がその折召使に伝言(ことづけ)した忠告も...
大阪圭吉 「死の快走船」
...その折も眼鏡越しにじろりと画を見てゐたが...
薄田泣菫 「茶話」
...それは確かにその折の探偵が話した通りの物だつた...
スティーヴンスン 佐藤緑葉訳 「若い僧侶の話」
...雑誌に寄稿されたその折々の紀行は死後にまとめられてそれぞれ『コッド岬』と『カナダにおけるヤンキー』の二巻となった...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...その折助として雑多な性格を見ることができるのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...その折母はなぜとも何とも聞き返さなかったが...
夏目漱石 「行人」
...今にもその折目がやぶれかかつてゐる...
堀辰雄 「手紙」
...宮木喜久雄と僕とで留守居をしてゐたその折のことでした...
堀辰雄 「二人の友」
...今こそその折をつかまえたと云うものじゃ――」長くは手間取らなかった...
本庄陸男 「石狩川」
...その折のことはちっとも話しませんでしたね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...その折、田山君のためといいながら悪口ばかりいっているので、その席上で私は遠慮なくいった...
柳田国男 「故郷七十年」
...その折に、もし私に会いたいと思ったら、厩肥(きゅうひ)を千駄(せんだ)積んでその上に青竹を立て、それに伝わって昇って来いと言ったので、男はその通りにして後から天へ昇って行った...
柳田国男 「年中行事覚書」
...ほとんど食事も進みかねておりましたのでございますが、その折柄、去る九日の午前出勤中に外務省の機密局長M男爵閣下宛、配達致して参りました封書中に、夫の筆跡に相違ない無記名のもの一通を見付けましたので、思わず胸を轟(とどろ)かせました...
夢野久作 「暗黒公使」
...いかにもその折の張飛でござる...
吉川英治 「三国志」
...「わが事、これにて成就疑いなし」といって、魏延と雷同を呼び、「魏延は、わが右翼にあれ、また雷同は同じく左翼に陣せよ、軍中紅き旗振るを合図として、その折は、全力をもって討って出よ」と命じ、陣中に美酒を迎え、肴(さかな)をあつめて、前にもました大酒宴をはじめた...
吉川英治 「三国志」
...まさにその折からです...
吉川英治 「私本太平記」
...……思えば、二人が心の端を語りあったのはただ一度、その校書殿の夜だけでしかない」「…………」「が、その折、尊氏どのもかなりお胸の底をみせ、正成も偽らぬ自分を、おこたえしておいた...
吉川英治 「私本太平記」
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