...その折のマリー夫人の大きな悲痛と落胆とは想像に余りある程でありました...
石原純 「キュリー夫人」
...敬意を表する積りでその折のフロツクコートだけは今朝も着込んでゐる...
薄田泣菫 「茶話」
...広沢がその折寄進した書が...
薄田泣菫 「茶話」
...その折誰かがブライアン氏の宗教は何だらうと言ひ出した...
薄田泣菫 「茶話」
...その折屋敷の主人(あるじ)は二三人の下男(しもをとこ)を相手に...
薄田泣菫 「茶話」
...船橋氏は乙羽から『欧山米水』といふその折の観光記を受取つたが...
薄田泣菫 「茶話」
...まだその折にはめくらになっておりませなんだ...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...その折角の贈り物に対しては何と挨拶してよいかも分らないので...
谷崎潤一郎 「細雪」
...博文館編輯局にはその折木曜会の知友多かりき...
永井荷風 「書かでもの記」
...その折悲惨(みじめ)だったのは...
長谷川時雨 「木魚の配偶」
...その折々の去來にまかして...
水野仙子 「響」
...併しその折の私の事情には尚も高過ぎたのである...
柳宗悦 「赤絵鉢」
...すると二、三日たつてから、期待してゐたかんじんな古つゞらは持つて來ないで、その折、ついでのやうにふと札を入れておいた藤田東湖の吉野の詩と、藤田小次郎の筑波山の詩の二幅が屆けられて、――あのはうは、どうもせつかくでしたが、八百何圓とかで、ほかへ持つてゆかれました...
吉川英治 「折々の記」
...その折、列座の中で呂蒙は、「荊州の中府はすでに占領したが、これで荊州の版図がわが掌(て)に帰したとはいえない...
吉川英治 「三国志」
...その折は、あなた様も、われら同様な山伏姿にお身なりを変えて、次の日、当麻(たいま)越えより高市(たけち)の方へ、ただお一人で、忍びやかに、お立ち出ででございましたが」「…………」「さいぜん、龍田の路傍で、ふとお見かけした折も、すぐ思い当りまいたが、居合せた若い学僧は、宮方不服の輩と見えましたゆえ、わざと、眼をそらせて、立ち去った次第でございまするが、何はともあれ、いつも御健勝の態(てい)で、宮方たるわれら末輩(まっぱい)まで、心強うぞんぜられます」「…………」「次いでは、五年前の秋、あの正中二年の騒ぎでは、あなた様にも、日野資朝卿(すけともきょう)と共に、鎌倉表へ曳かれてゆき、一時は、宮方同心の者みな、暗澹(あんたん)な思いにくれましたが、佐渡へ流され給うたは、資朝卿おひとりにて、あなた様には、解かれて、都へお返りなされてでござりまいた...
吉川英治 「私本太平記」
...その折の朱具足の武者こそは...
吉川英治 「新書太閤記」
...光秀様の歌道は、細川藤孝(幽斎(ゆうさい))殿と、御姻戚(ごいんせき)の間がらとなってからは、なおさら、研鑽(けんさん)の深いものがあり、かつて、滋賀の唐崎(からさき)に松を植えられて、その折、われならで誰かは植えんひとつ松心してふけ滋賀の浦かぜと詠じた歌などは、公卿(くげ)たちの間にも秀歌と伝えられて、「やさしき武士(もののふ)」といい囃(はや)されたものだった...
吉川英治 「茶漬三略」
...その折母がぼくに向って...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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