...その上には原稿用紙が乱雑に重なり合つてゐた...
芥川龍之介 「あの頃の自分の事」
...その上枝を鎧(よろ)つた葉も鋼鉄のやうに光つてゐる...
芥川龍之介 「わが散文詩」
...その上の棚には素晴しい六放海綿(ほっすがい科)を...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...その上にかけあがって...
江戸川乱歩 「黄金豹」
...その上、京の女は後向きになって、立ったまま用を足すので、その音はひどく庶民的な音を立てる...
外村繁 「澪標」
...その上の煙筒から吐き出さるる渦巻く煙とが...
豊島与志雄 「過渡人」
...人々は、もう一度、自分達の署名、血判を見直そうと、頭を、その上へ集めた...
直木三十五 「南国太平記」
...その上に、設備万端の費用もおかまいなしというようなわけで、与八の前へ棟梁(とうりょう)を呼んで、自分から言いつけて工事をやらせるという徹底ぶりにまでなったのですから、与八の本望は申すまでもなく、大工さんたちも、「わたしたちもこれで願いがかないました、この仕事は人助けのためだから」と言って、奉仕につとめてくれたことですから、日ならず立派な公開浴場が出来上りました...
中里介山 「大菩薩峠」
...その上に胃の上の氷嚢(ひょうのう)でまた驚かされた...
夏目漱石 「行人」
...居城修復のため、江戸から神田末廣町の棟梁(とうりやう)柏木藤兵衞といふ、有名な城大工を國許まで呼び寄せ、濠、石垣から、三の丸、二の丸、本丸の繪圖面(ゑづめん)を引かせ、その上、嚴重にも嚴重を極めた、修復の原案を書き加へて、家老石津右門、藤兵衞と一緒に繪圖面を携(たづさ)へて江戸表に着いたのは四五日前のことでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...『マヅルカを踊る者が沢山をりますぢや、いや実に沢山をりますぢや、非常に沢山!』このP××歩兵聯隊の発展ぶりを更によく読者に示すため、士官のうちに、途方もない賭博者(ばくちうち)で、軍服や軍帽から外套はおろか、下緒(さげを)から、まだその上に、どんな騎兵連の間を捜しつても到底見つかりさうにない下著の端に至るまで、すつかり賭けてしまふといつた、恐ろしい豪傑が二人もゐたことを、つけ加へておく...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...彼女は海賊王の眼を捕える網のようなふさやかな赤い髪をひろげてその上に陽のひかりの赤くうつるのを見ていた...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「剣のうた」
...カラーのところや裾の切れた外套をその上にぶっかけ...
「小祝の一家」
...第三に一番長く保存する法は地を掘って下へ灰を敷いて玉子を一つ一つ離して横に置いてその上へ灰をかけておくのです...
村井弦斎 「食道楽」
...(b)しかもその上...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...――人がよく眠っているのを、いきなり槍の先ッぽで小突き起して、――その上、舟が要用(いりよう)だから、立てとは何だ...
吉川英治 「新書太閤記」
...その上さらに、陸上二十里まで送ろうという一同の好意を、宋江は強(た)って断わり、そのまま二人の端公(たんこう)に追っ立てられつつ、一路江州への道をいそいだ...
吉川英治 「新・水滸伝」
...その上で、万一にも、敗れを取るようなことがあったとすれば、これは、最善を尽しての負けだ、実力の差だ、どうも致し方はないが……」小次郎は、清十郎の正直さには好意を持てるが、気宇(きう)の小さなところが同時に見え透(す)いて、これではとても、吉岡拳法(けんぽう)の名声と、あの大きな道場とを、永くうけ継いで行ける器量ではない――と秘(ひそ)かに気の毒に感じるのだった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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