...さうしてその上に乱落する鮮(あざやか)な蜜柑の色と――すべては汽車の窓の外に...
芥川龍之介 「蜜柑」
...あちらはいつも夏景色で、その上、この信用手形でお金が取れるのだろうが...
ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 「幸福のうわおいぐつ」
...するとしばらくしてその映写幕が光り出して、その上に、波のような模様が忙しく流れだした...
海野十三 「地球発狂事件」
...その上、なんとまあ抜け目のないことには、トランクの中の宝石類は、一つもあまさず、その背広服のポケットにおさまっていたのである...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...できない家は、できるだけのことで結構ですから、というようなぼんやりした希望を述べただけで、つまり各世帯の町会に対する好意に期待する、という甚だ根拠のないやり方で、その紛糾しそうな問題を片づけてしまったのであるが、乱歩の方は、先ず負担額の理論的根拠を割り出しておき、さてその上で、各世帯の実状に応じての割当てをしたのであろう...
大下宇陀児 「乱歩分析」
...その上を打ちたたいても魚やジャコウネズミがおどろいて茫然となることはないだろう...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...その上へ落ちたものでございますから」「そうか」一行は其の前に停まっていた...
田中貢太郎 「海神に祈る」
...わずかにその上に白波が立っているのでその所在が知れるぐらいのものである...
知里真志保 「あの世の入口」
...その上、障子を張り替えたり、庭に盆裁を並べたり、いろんな用がありました...
豊島与志雄 「影」
...その上もうだいぶ遅くもなっていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
......
永井荷風 「書かでもの記」
...熱泉のわき出すその上に...
中里介山 「大菩薩峠」
...「あ、これは短刀の鞘(さや)ですよ、親分」「どれ」成程それは、お駒とお鐵を殺した、あの短刀の鞘に間違ひもなく、その上丁寧に、細いが丈夫さうな凧絲を一とつかみほどの輪にして、これも葛籠の上に置き、半紙一枚に、甚だ下手な字で、――二人の女を殺したのはこの彌之助に相違ない...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その上にはやはり瀕死(ひんし)の重傷者が臥(ふ)していて...
原民喜 「夏の花」
...その上浜田が偉い者のやうにさへ思はれて来た...
牧野信一 「蘭丸の絵」
...船を水に浮かべてその上にこの牛をのせ...
柳田国男 「母の手毬歌」
...その上お前たちに...
吉川英治 「江戸三国志」
...その上、夏、疫痢の流行があり、清涼殿に落雷があって、大火を起した...
吉川英治 「平の将門」
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