...その原稿依頼状や原稿料の送付は、そのつど、東京都内のちがった郵便局の留め置きとして、使いにこれを受けとらせ、佐川春泥の正体をかたく秘密にしていたこと、この奇怪なる秘密性のためにかれの人気がいっそう高まりつつあることも前述した...
江戸川乱歩 「影男」
...主人はそのつど意味が解らないような顔をした...
田中貢太郎 「胡氏」
...そのつど邪魔が入って目的を達することができなかった...
田中貢太郎 「白っぽい洋服」
...そのつど二三日は帰つて来ない彼に対して敵意を挟んで来てゐる細君は隣の手前などはかまはなかつた...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...横井君はそのつどそれを見ているので...
田中貢太郎 「屋根の上の黒猫」
...お遊さんが帯をしめてほしいといえば男のちからでなければといって父にやらせあたらしい足袋をはかせるときはこはぜがかたいからといって父の手をかりそのつど父がはずかしがったりこまったりするのをながめているのでござりました...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...テープの長さや貼る位置はそのつど少しずつ変える必要がある)こうすると...
谷崎潤一郎 「鍵」
...そのつどうしろを振り向く訳にも行かなかった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...そのつど「はい」「はい」と返辞ばかりして密(ひそ)かに聴き耳を立てていたが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...そのつど断つてゐるのであつた...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...そのつど何千という金を使ったなどと言ったっけな...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...だから、秘書格の駒井さんは、そのつど、立ってゆきます...
豊島与志雄 「白い朝」
...この仕事はもう彼の年齡には不向きになりかけていたので、時おり意外な嘲笑を招いたが、そのつど彼は、こっぴどく鐵拳をふるって相手を沈默させるのであった...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...そのつど必ず文字通りに世界中の著名な学者の所へ全部送り出されるのである...
中谷宇吉郎 「リチャードソン」
...此(この)問題(もんだい)は其都度(そのつど)次第々々(しだい/\)に背景(はいけい)の奧(おく)に遠(とほ)ざかつて行(ゆ)くのであつた...
夏目漱石 「門」
...そのつど追加するとし...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...そのつど感銘を受けた本であった...
三木清 「読書遍歴」
...そのつど犠牲は少なくない...
吉川英治 「私本太平記」
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