...彼女の食慾をそそるものは若鮎(わかあゆ)の塩焼だけであるが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...何も考えないで即座に電車切符をやらないではおかないであったろうと思われるほどに実に気の毒な思いをそそる何物かがあの父子の身辺につきまとっていたではないか...
寺田寅彦 「蒸発皿」
...嫌惡の情をそそることなしに表白することは不可能なはずではないか...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...園部の所謂旅情をそそる...
豊島与志雄 「朝やけ」
...僕の感傷をそそる...
豊島与志雄 「慾」
...竜之助の気をそそる唯一(ゆいつ)のものです...
中里介山 「大菩薩峠」
...綿々たる追分節が詩興をそそるのに...
中里介山 「大菩薩峠」
...美快なる食慾をそそるに充分でありましたから...
中里介山 「大菩薩峠」
...妙に感傷をそそる夕(ゆうべ)です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...妙に涙をそそる情景です...
野村胡堂 「裸身の女仙」
...靴屋の仕事だけがあんたの心をそそるというわけね...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...秋になると空の色も人の哀愁をそそるようになり...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...(a)同情は寛大な心をそそるのに役立つし...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...(c)薬はおいしくて食欲をそそるものでさえあれば...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...その学問への興味をそそることであろう...
矢部貞治 「政治学入門」
...その万引心理をそそる品物が全市に満ち満ちている...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...心の奥底にある表現欲をたまらなくそそる作用を持っている事が理解されて来る...
夢野久作 「能ぎらい/能好き/能という名前」
...なかなかもののあわれも蕩児(とうじ)の心をそそるのであった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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