...なかには絵に描かれているような髑髏(どくろ)がそこはかとない秋草を褥(しとね)にすわっていたという土産話も...
上村松園 「中支遊記」
...そこはかとない溜息をつく...
大阪圭吉 「銀座幽霊」
...黄昏(たそがれ)時の色町の灯を恋いしたうそこはかとない心もち...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...ヱゴ諸相の連続映像!・朝日まぶしい花きるや水仙・けさのひざしの手洗水へあたたかくここもやしきあとらしいうめのはな・もうしづむひでささのさやさや・ゆふべのサイレンのながうてさむうて・暮れても耕やす人かげに百舌鳥のけたたましく・茶の木にかこまれそこはかとないくらし(述懐)火を焚いて咳ばかりして二月十三日降霜結氷...
種田山頭火 「其中日記」
...そこはかとない無常感...
種田山頭火 「其中日記」
...まだ食べるものはある月かげのまんなかをもどる雪へ雪ふるしづけさにをる雪ふる一人一人ゆく落葉あたたかうして藪柑子茶の木にかこまれそこはかとないくらし或る友に月夜...
種田山頭火 「草木塔」
...それは悲哀と苦痛の影――そこはかとないようでいて...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...そこはかとない感情を伴うようになった...
外村繁 「澪標」
...そこはかとないけはひです...
中原中也 「山羊の歌」
...毎日見慣れてゐる私の裡にまでそこはかとない旅情を生ぜしめる...
堀辰雄 「初秋の淺間」
...そこはかとない薄明しか漂はせてゐなかつた星形の窓は...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「窓」
...そこはかとない筆致で女性だと気づいた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「ギルレイ」
...そこはかとない感傷に耽らずには居られなかつたが...
牧野信一 「茜蜻蛉」
...そこはかとない放浪のおもひが逞しいにもかゝはらず...
牧野信一 「書斎を棄てゝ」
...独特なそこはかとない一脈の甘苦い哀音が漂うてゐる韻律に酔はされて...
牧野信一 「雪景色」
...そこはかとない清潔さを象徴していた...
吉川英治 「私本太平記」
...彼女のそこはかとない衣ずれの匂いにも紛らわしい...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...藤原文化のそこはかとない匂い...
吉川英治 「随筆 新平家」
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