...晩げのめし食うとすぐに赤ん坊に添寝(そいね)して...
太宰治 「嘘」
...そいつあお前(めえ)の生涯中取返しがつかねえんだからな...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...黒煙が、薄く立昇ると、お由羅は、次々に護摩木を投げ入れ、塩を振りかけ、水をそそいだ...
直木三十五 「南国太平記」
...ほかにそら、持薬が二三品と、枕本、手紙、書附――印籠、手形といったようなもの」「おや、おや」「どうだ、こういうものをお蘭さんが人手に預けっ放しにして置いて、駈落というはおかしなもんじゃねえか、色男と手に手を取って逃げようとでもいう寸法なら、さし当り、この一箱をその色男の手に渡して置かなけりゃ嘘だ、昔から色男になる奴は、金と力が無いものに相場がきまっている、そいつがお前、お蘭さんのつれて逃げたという色男の手に入らねえで、ほかならぬこの兄さんの手に落ちている――してみりゃ、かねてその色男としめし合わせて今度の駈落、というのは嘘だあな」「じゃ、どうしたの」「お蘭さんはお蘭さんで、かどわかされたんだね、決して出来合ったわけでも、しめし合わせたわけでもないんだ」「そうだとすれば、かわいそうね」「うむ、かわいそうなところもある、第一、駈落には、金より大事なものはあるにはあるが、金が先立たなけりゃ身動きもできるものじゃねえのさ、その大事の金を一文も持たずに連れ出されたお蘭さんという人も、たしかにかわいそうな身の上に違えねえから、ここは一番……」がんりきは意気込んで、小箱の蓋で縁を丁と叩き、「何とかしてやらざあなるめえ」と見得(みえ)をきったのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...そいつはよかった」「天神様の女坂の上から小手を翳(かざ)して遥かに眺めると...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そいつは後で証拠になりそうだと思ったからで」喜太郎はさすがに行き届きます...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そいつは気味が悪くて嘗め兼ねましたよ」それは八五郎でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...なんでもいいからいそいで結婚してちょうだい...
久生十蘭 「ハムレット」
...いそいそした足どりで...
火野葦平 「花と龍」
...そいつは風の又三郎でした...
宮沢賢治 「風野又三郎」
...とめはいそいで自分のたべた飯茶碗を流しの小桶の中へつけると...
「共同耕作」
...浮山 柳子はその金でどうする気だ?若宮 そいつは...
三好十郎 「冒した者」
...そいで何はともあれ...
三好十郎 「樹氷」
...そいつは無理だぞ! 第一...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...或る藥品だと思つて下さい――そいつを私共でいくつかに分けてほかへした...
三好十郎 「肌の匂い」
...そいつの得物を渡してやれ」「へい」と洞門は手下の者にいいつけて...
吉川英治 「剣難女難」
...切れ長なほそい眼が...
吉川英治 「新書太閤記」
...――末長う、貞節に侍(かしず)けよ」「…………」政子が、頭(かしら)を下げるのを見ながら、時政は起ち上がって、「いそいで、顔の粧(よそお)いを直せ、広間の方に、立ち祝とて、一族大勢の輩(やから)がもう待ちうけておる」牧の方は、彼女を伴って、帳(とばり)の陰で、何かささやいていた...
吉川英治 「源頼朝」
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