...あのじめじめした猿江の墓地は未だに僕の記憶に残っている...
芥川龍之介 「本所両国」
...いつのまにかじめじめした薄(うす)ぎたない狭い通りに来たと思うと...
有島武郎 「或る女」
...そのじめじめした薄暗い中へ入って行った...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...私がじめじめした雜木の下路を通りながら...
薄田泣菫 「久米の仙人」
...じめじめした湿地と薄暗がりとを娯しんでいるのだ...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...そしてそこらの陰地やじめじめした水溜の附近を...
薄田泣菫 「独楽園」
...酒で朽ちたじめじめした木片をさもうまそうに舐めたり...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...じめじめした冷い地面や...
豊島与志雄 「微笑」
...何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...じめじめした湿気と...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...じめじめした眠りを睡つてゐるのかも知れないのだ...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から」
...いやに天井の低いじめじめした楽屋の半分くらいまで...
正岡容 「寄席」
...……かくてトニオは、古い、がっしりした都門を抜けて、港に沿うて進んだ後、急勾配で風当りのひどい、じめじめした、破風屋根の多い小路を、両親の家へと昇って行った...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...稚内(わっかない)はじめじめした平地...
武者金吉 「地震なまず」
...じめじめした灰色な騒騒しいペテルブルグの夕方をあちこち逍ふ「どこか品のある美しい嶮しい顔」の乞食のやうにして送つた...
室生犀星 「愛の詩集」
...じめじめした水田のようなところへ出ていた...
室生犀星 「後の日の童子」
...日蔭(ひかげ)のじめじめした場所で地面にはいっぱい銭苔(ぜにごけ)が蔽(おお)いついているし...
山本周五郎 「日本婦道記」
...それは椎(しい)や松やみずならの深い林と、灌木(かんぼく)や藪(やぶ)の繁った丘の斜面で、じめじめした、細い、危なっかしく折り曲った石段である...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
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