...じめじめした苔(こけ)の間に鷺草(さぎぐさ)のような小さな紫の花がさいていたのは知っている...
芥川龍之介 「槍が岳に登った記」
...じめじめした穴蔵のろうやへエリーザは押し込められました...
ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 「野のはくちょう」
...妙にじめじめした感情が画面に盛り上っているのだ...
大阪圭吉 「闖入者」
...そしてそこらの陰地やじめじめした水溜の附近を...
薄田泣菫 「独楽園」
...酒で朽ちたじめじめした木片をさもうまそうに舐めたり...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...夢の中ではたとえば蝋燭(ろうそく)やあるいはまたじめじめした地下の坑道が性的の象徴となる場合がある...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...行ってみよう」私達はじめじめした凹地を越えて...
コナンドイル Conan Doyle 三上於莵吉訳 「白銀の失踪」
...お庄はじめじめした物置の蔭に積んである薪(まき)に体を凭(もた)せていながら...
徳田秋声 「足迹」
...どこもかしこもじめじめしたもので...
徳田秋聲 「霧ヶ峰から鷲ヶ峰へ」
...じめじめした気がそこからにじみ出していた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...じめじめした雨の中に青ざめて裸の道に虚ろな日がこのジェームズの今から六十年前の歎きは...
中井正一 「美学入門」
...じめじめした凹地の中に沈み...
西尾正 「墓場」
...六畳二間きりのじめじめした家だけれど...
林芙美子 「淪落」
...じめじめした匂いが湿って鼻孔を圧してきた...
室生犀星 「蛾」
...じめじめした水田のようなところへ出ていた...
室生犀星 「後の日の童子」
...暗くじめじめした...
山本周五郎 「夕靄の中」
...そうしてこのじめじめした露路の中へ落ち込んだのではないか...
横光利一 「上海」
...じめじめした蓮田(はすだ)のへりを悠々とならんで歩み出しました...
吉川英治 「江戸三国志」
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