...じっとりと水滴に濡れていた...
海野十三 「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」
...からだじゅうに冷たい脂汗がじっとりと浮かんでくるほどの恐ろしい不安になやまされていた...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...じっとりと手足が汗ばんできて...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...そのおもては熱気にむされてじっとりと汗ばみ...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...車室の中がじっとりと生暖いので...
谷崎潤一郎 「細雪」
...こめかみは汗でじっとりとしていた...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...彼の脊筋はじっとりと冷汗に濡れてゐた...
原民喜 「夢」
...じっとりと脂湿(あぶらじめ)りのする生温い香世子の霊の手を握りながら...
久生十蘭 「雲の小径」
...足裏にじっとりと水気が草履(ぞうり)をとおして...
本庄陸男 「石狩川」
...背中はじっとりと汗ばんで...
松濤明 「春の遠山入り」
...――畜生! いけねえ魔物を掌(て)に握っていやあがる――あれせえなけりゃあ、糞! こうしちゃあ見ていねえのだが――荒蓆(あらむしろ)の上に、坐っている雪之丞は、しかし、じっとりと、身じろぎもせず、お初を、澄んだ目で迎えているようだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...頑(かたくな)な心ざまをかえりみて脇のあたりにじっとりと汗を感じた...
山本周五郎 「菊屋敷」
...三人とも着た物がじっとりと湿っているし...
山本周五郎 「風流太平記」
...踏む砂からじっとりと水が滲み出た...
横光利一 「旅愁」
...夜露が被衣をじっとりと寒くしてくる...
吉川英治 「親鸞」
...蔀(しとみ)の下近く端居(はしい)したまま夜半(よなか)の冷たいものがじっとりと五(いつ)つ衣(ぎぬ)の裳(もすそ)と法衣(ころも)の袖に重たくなるのも忘れ果てて...
吉川英治 「親鸞」
...……そして、ふと眼をさました時は、川や海に近い水郷の常として、そこらの壁や、夜の具(もの)まで、じっとりと、水気をふくみ、自分のそばに、もひとり黒髪をみだしたものが寝くたれていた...
吉川英治 「平の将門」
...ここの風にはじっとりと潮気(しおけ)があった...
吉川英治 「春の雁」
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