...故国のしめやかな哀音を耳にするのは...
阿部次郎 「帰来」
...このしめやかな夜を……太陽が消えてなくなったような寒さと闇(やみ)とが葉子の心におおいかぶさって来た...
有島武郎 「或る女」
...しめやかな心になってアグネスを見た...
有島武郎 「クララの出家」
...蒼黄いろい空の下にしめやかな荒村(あれむら)があちこちに横たわっていささかの活気もない...
魯迅 井上紅梅訳 「故郷」
...*ゆふぐれのかげのなかをあるいてゆくしめやかなこひびとよ...
大手拓次 「藍色の蟇」
...午後は果して雨となつた、しめやかな雨だ、たま/\発見した十銭白銅一つを持つて出かける、地下足袋を穿いて...
種田山頭火 「行乞記」
...そしてしめやかな雨の音...
種田山頭火 「其中日記」
...たゞし熟柿は落ちる!ゆふべのしめやかさが自分について考へさせる...
種田山頭火 「其中日記」
...今夜はしめやかに昔を語れッて...
田山花袋 「田舎教師」
...しめやかな沈黙が続いた...
豊島与志雄 「二つの途」
...しめやかに納棺を待つて居り...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...西暦一九二五年夏東京の郊外にて著者愛憐詩篇夜汽車有明のうすらあかりは硝子戸に指のあとつめたくほの白みゆく山の端はみづがねのごとくにしめやかなれどもまだ旅びとのねむりさめやらねばつかれたる電燈のためいきばかりこちたしや...
萩原朔太郎 「純情小曲集」
...いつよりはしめやかに床の内の首尾気遣いしたまい...
南方熊楠 「十二支考」
...しめやかな月の光の中を...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...雨などの降ってしめやかな夜に僧都は夜居の役を承った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...さうして日の光だ、雨の音だ、清(すず)しい草花のかをり、木の葉のそよぎ、しめやかな霙、雪の羽ばたきだ...
室生犀星 「愛の詩集」
...庭のあたりでこのごろ飼った河鹿(かじか)がしめやかに啼いた...
室生犀星 「童子」
...話はしめやかである...
森鴎外 「独身」
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