...崩れかかる雪のごとく鎬(しのぎ)を削る頼母(たのも)しさ...
泉鏡花 「海異記」
...先づ寒さしのぎにとて...
大町桂月 「足柄の山水」
...用意の綿入にもしのぎかねて終夜(よもすがら)焼火にあたりて夢(ゆめ)もむすばず...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...羽目板(はめいた)はところどころずり落ち雨戸もまだついていないゆえほんの雨つゆのしのぎになるばかり...
中勘助 「島守」
...無智なる観客を相手に批評家と作家と俳優と興行師とが争名(さうめい)と収益との鎬(しのぎ)を削合(けづりあ)ふ劇場の天地を一日も早く忘れたい...
永井荷風 「海洋の旅」
...金に飽(あ)かし鎬(しのぎ)を削って研究している方面へT君が一人ではいって行って...
中谷宇吉郎 「原子爆弾雑話」
...気狂が集合して鎬(しのぎ)を削(けず)ってつかみ合い...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...一時しのぎの気持ちにもなるのだつた...
林芙美子 「浮雲」
...「うちの酒は、三斎隠居の邸(やしき)の奴より、うまくはねえかも知れねえが、又、別な味があるかも知れねえ、夜寒むしのぎに、ひっかけて行って下せえ」雪之丞は、白く、かぼそい手で、なみなみと満たされた湯呑を取り上げた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...彼が方法叙説第三部における道徳論を暫定(ざんてい)的な或(ある)いは一時しのぎのものと称したことは極めて特徴的である...
三木清 「人生論ノート」
...峯子のひとりの生活をしのぎ得るものとしているのは...
「今朝の雪」
...却って暑ければ暑いなりに気候が定った方がしのぎよいでしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...私は南京虫にくわれると実にひどくてアンモニアをつけてやっとしのぎました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...お湯に入らなければ何ともしのぎかねるというところ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...天と地との協力せる威嚇をしのぎ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...中外商業新報から僅かな稿料が入って二三日のしのぎがついた...
山本周五郎 「青べか日記」
...遠路をしのぎてたちまちに参洛(さんらく)しおん大事に会(あ)ふの条御感(ぎよかん)ななめならず……という特別な叡慮(えいりょ)も辞句にはいっていた...
吉川英治 「私本太平記」
...残暑の苦熱を一(ひと)しのぎした...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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