...たちまち風雨のしのぎがつかなくなることは知れきっている...
伊藤左千夫 「去年」
...あたりにはえた草を結んだか弱い雨露しのぎ――この草の結びが解ける時はまたもとの野原に立ちかえる...
岡倉覚三 村岡博訳 「茶の本」
...用意の綿入にもしのぎかねて終夜(よもすがら)焼火にあたりて夢(ゆめ)もむすばず...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...承って万里の風浪をしのぎ来て...
太宰治 「地球図」
...萬作にはしのぎ藤四郎を与え...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...ベルナア(四)の嶺高く雪滿山を埋むれば響きは凄しアバランチ難きをしのぎ險を越え見おろす大野草青く馬は肥たりマレンゴウ(五)...
土井晩翠 「天地有情」
...『ほんの一時の雨しのぎ』だとか...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...やっとのことでしのぎ通した一時間一時間...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...二カ月もミルスの注射をしながら身体をアンチモンに馴らしている間の退窟しのぎに調べてみたことである...
中谷宇吉郎 「ジストマ退治の話」
...いい退屈しのぎにはなった...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...そうだ、ひとつ、退屈しのぎに、からかいに行ってやろうか――島抜け法印、残りの白丁を振って見て、――こんなことなら、独りでがぶ飲みをするんじゃなかったが、それでもまだ、あいつが、ほろりとするぐれえは残っていらあ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...少し風があってしのぎよいようですが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...幸きのうはいく分しのぎよかったから引越しにはもって来いでした...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そして来れば友ちゃんは送られた心持ものこされて何かしのぎよいでしょうと思って...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...きょうは六十六度ほどで、曇ってもいるし、しのぎよいが、昨日は又八十度越しました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...鎬(しのぎ)をけずった有名な戦場(せんじょう)で...
吉川英治 「神州天馬侠」
...三名は、麓(ふもと)の農家で、充分に体をあたため、飢えをしのぎ、あつく礼をのべて、やがて昨日(きのう)とかわらぬ冬の日の温かい街道へ立ち出でた...
吉川英治 「親鸞」
...お寒さしのぎに」お次はそこへ酒を出しておいてから...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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