...ことに能楽(のうがく)のしっとりと落ちついたゆるやかさのなかに...
石原純 「アインシュタイン教授をわが国に迎えて」
...解けた黒髪は絞る程もしっとりと液体を含んでいた...
江戸川乱歩 「悪霊」
...着物の裾がしめっぽくしっとりとなった...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「情鬼」
...それがしっとりと汗ばんだ感触を...
高見順 「いやな感じ」
...しっとりと重くて...
太宰治 「懶惰の歌留多」
...しっとりと油にしめって居る髱(たぼ)の下から耳を掠めて頤(おとがい)のあたりをぐる/\と二た廻り程巻きつけた上...
谷崎潤一郎 「少年」
...しっとりと落付いている恰好で...
豊島与志雄 「坂田の場合」
...そしてしっとりと露の下りた草木の葉が...
豊島与志雄 「土地」
...山科の朝はしっとりと重くして...
中里介山 「大菩薩峠」
...しっとりとした朝である...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...睫毛が長くて眼の中がしっとりと濡れ...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...しっとりと眼に影をつけているといった感傷的な風姿が...
久生十蘭 「蝶の絵」
...被害の家の廻りが必ずしっとりと湿っているのである...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...しめっぽい、しっとりとした、楽しげな早春の夜...
宮本百合子 「結婚問題に就て考慮する迄」
...しかし舌の上にしっとりとくぐんで味ってみれば...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...彼女のこころよい皮膚の桜色した色合いがしっとりと今心にそそぎ込まれたような満足を感じた...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...しっとりとしたちょうど頃合の重さなども好きで...
山本周五郎 「日本婦道記」
...しっとりと身に沁み始め...
横光利一 「馬車」
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