...床の間にしっとりと露を被(かつ)いだ矢車の花は...
泉鏡花 「婦系図」
...解けた黒髪は絞る程もしっとりと液体を含んでいた...
江戸川乱歩 「悪霊」
...着物の裾がしめっぽくしっとりとなった...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「情鬼」
...しっとりと手のひらに浸み入るようだった...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...しっとりと砂に吸い込まれて行く...
太宰治 「正義と微笑」
...既に頽廃期に入った国の都の方が如何にもしっとりとして懐しくもある...
辰野隆 「パリの散策」
...雨に濡(ぬ)れた足袋(たび)の端がいまだにしっとりと湿(しめ)っているのが気持が悪く...
谷崎潤一郎 「細雪」
...日暮れの風もしっとりと侘(わび)しかった...
徳田秋声 「仮装人物」
...空気はまだしっとりと落付いていて...
豊島与志雄 「人の国」
...しっとりと光っているところに金文字でカフェーナショナルと表わしてあった...
長谷川時雨 「一世お鯉」
...はすはになりがちであるのをしっとりと品よく...
長谷川時雨 「豊竹呂昇」
...顔いちめんにしっとりと黒い短かな髯を生やし...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「流刑地で」
...セザンヌが好んだといわれる曇り加減のしっとりとした午後の光線までありありと感じられ...
久生十蘭 「予言」
...同時に額がしっとりとした湿気にひたっているように思われ...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「落穴と振子」
...彼女のこころよい皮膚の桜色した色合いがしっとりと今心にそそぎ込まれたような満足を感じた...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...しっとりと私のこころに重りかかってくるのであった...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...しっとりとおちついた一生...
山本周五郎 「思い違い物語」
...そしてあんなにしっとりとおちついた人だったのが...
山本周五郎 「日本婦道記」
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