...しっとりと酒のかをりにひたりたる脳の重みを感じて帰る...
石川啄木 「悲しき玩具」
...このしっとりとした土さえ...
海野十三 「火星兵団」
...乳母は夜露にしっとりと湿(しめ)って重くなっている娘の袂に触ってみて...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...そのしっとりと垂れている袂の重みにも得堪えぬほどに...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...地面もしっとりと濡い...
豊島与志雄 「幻覚記」
...しっとりと落付いていた...
豊島与志雄 「白日夢」
...しっとりと担っている...
豊島与志雄 「母親」
...しっとりと光っているところに金文字でカフェーナショナルと表わしてあった...
長谷川時雨 「一世お鯉」
...街を歩くと服がしっとりとするようであった...
林芙美子 「帯広まで」
...新らしい蛇の目の傘がしっとりと濡れたまま縁側に立てかけてあった...
林芙美子 「新版 放浪記」
...しっとりとした深い奥ゆきの中で落ち着いている...
久生十蘭 「キャラコさん」
...苔の肌はしっとりとしている...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...湿気(しめりけ)を持った夜風がしっとりと公園に立罩(こ)めていた...
松本泰 「P丘の殺人事件」
...夢に見るのはまだ浅い――昼間の想いが、夜よりも深いということを、はじめて、わたしは知りました」浪路は、しっとりと、雪之丞にもたれかかってしまった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...……そこは湿った土の香がしっとりと匂っていた...
山本周五郎 「新潮記」
...あまくしっとりとして...
山本周五郎 「風流太平記」
...しっとりとした重みを胸に受け...
蘭郁二郎 「鉄路」
...雨がふると幹の色はしっとりと落ちついた...
和辻哲郎 「樹の根」
便利!手書き漢字入力検索