...居合わせてる者らには半分も解らないような事をしたり顔にいい聞かした...
有島武郎 「カインの末裔」
...笠井は広岡の名をいってしたり顔に小首を傾けた...
有島武郎 「カインの末裔」
...渡瀬はしたり顔に一度首をかしげると...
有島武郎 「星座」
...聴水はしたり顔にて...
巌谷小波 「こがね丸」
...友人、したり顔にて、あれがあいつの悪い癖、惜しいものだ、と御述懐...
太宰治 「斜陽」
...かえってしたり顔などをしているのだから...
太宰治 「天狗」
...食卓にのぼる魚の値段を、いちいち妻に問いただし、新聞の政治欄を、むさぼる如く読み、支那の地図をひろげては、何やら仔細らしく検討し、ひとり首肯(うなず)き、また庭にトマトを植え、朝顔の鉢をいじり、さらに百花譜、動物図鑑、日本地理風俗大系などを、ひまひまに開いてみては、路傍の草花の名、庭に来て遊んでいる小鳥の名、さては日本の名所旧蹟を、なんの意味も無く調べてみては、したり顔して、すましている...
太宰治 「八十八夜」
...二の間違いを見付けてそれをさもしたり顔に蔭で云いふらすのなどもその類であるかもしれない...
寺田寅彦 「徒然草の鑑賞」
...頬にも瞼(まぶた)にも傷はねえ」源吉はしたり顔でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...みんなしたり顔で生きている...
林芙美子 「新版 放浪記」
...そのお方までがしたり顔にそんな事を言ってよこされた小憎らしさ...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...汪克児(オングル)(したり顔に腕組みして...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...寒笑はひどくしたり顔に坐り直した...
山本周五郎 「新潮記」
...数丈(すうじょう)うえのてっぺんに、烏(からす)のようにとまった竹童、したり顔して、あたりの形勢(けいせい)をとくと見とどけてのち、ふたたび降(お)りてくると、こんどは、白旗(しらはた)の宮(みや)の拝殿にかくしておいた一たばの松明(たいまつ)をかつぎだしてきた...
吉川英治 「神州天馬侠」
...忍剣(にんけん)はしたり顔だが...
吉川英治 「神州天馬侠」
...使いをしてきた三太郎猿(さんたろうざる)が最前(さいぜん)からしたり顔をして...
吉川英治 「神州天馬侠」
...「む……」九鬼弥助は、したり顔をして、要心(ようじん)深く床下の土にヘバリつきながら、片手に抜刀(ぬきみ)をつかんだまま、もういっそう、奥の方へ、ジリジリと身を退(ひ)いて、その様子を見届けていた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...伊織はしたり顔に答える...
吉川英治 「宮本武蔵」
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