...物言ひが些(ち)と舌蕩(したたる)く聞える許りで...
石川啄木 「刑余の叔父」
...セミを彫っているとそういう林間の緑したたる涼風が部屋に満ちて来るような気がする...
高村光太郎 「蝉の美と造型」
...・日照雨ふる朝からぽんぽん鉄砲をうつ・晴れさうな竹の葉の露のしたたる緑平老に・あなたのことを考へてゐてあなたのたよりが濡れてきたそこらの嫁さん・麦まきもすんだところでお寺まゐりのおしろい塗つて┐・鋪装道路の直線が山へ...
種田山頭火 「其中日記」
......
鶴彬 「鶴彬全川柳」
...汗は淋漓(りんり)として満面にしたたるも...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...浪子は恨みにはおとさぬ涙のおのずから頬(ほお)にしたたるを覚えず...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...舗石の間の水溜(た)まりにも靴からしたたる水にも...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...口元の一寸したたるみ...
豊島与志雄 「電車停留場」
...彼らは血のしたたる胴体を背にかついできた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...明るみに出せば泥(どろ)のしたたるこの賤(いや)しい特殊語を...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...水のしたたる美しさでうす明かりの中にうかぶのであった...
新美南吉 「花をうめる」
...と床のうえにしたたるのがはっきりときこえる...
久生十蘭 「金狼」
...かの水精(ナイアス)の水したたる白い御手(おんて)に滋味を吸う鵠(こう)の鳥...
ホーフマンスタール Hugo von Hofmannsthal 木下杢太郎訳 「チチアンの死」
...われは露のしたたる苔の耳もちたる愚人なりしとおお女神よ...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「精」
...美しい海のしずくのしたたる手肢で...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...葉から葉へしたたる雨の滴...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...得石に向かってしたたるように笑いかけ...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...したたる水を吸って...
吉川英治 「江戸三国志」
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