...鶴翻松露滴衣裳(つるはひるがへつてしようろいしやうにしたたる)...
芥川龍之介 「骨董羹」
...まことに水もしたたるような美しさでした...
上村松園 「無題抄」
...頸からしたたる血の滴を...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「予謀殺人」
...くッきりと水のしたたるような鮮やかな美貌(びぼう)ばかりを...
谷崎潤一郎 「秘密」
...・近道の近道があるをみなへし・こゝから下りとなる石仏・山の朝風の木が折れてゐる・ほんにうまい水がある注連張つてある・どうやら道をまちがへたらしい牛の糞・住めば住まれる筧の水はあふれる近道近かつた石地蔵尊うらは蓮田で若いめをとで・はだかではだかの子にたたかれてゐる・波音のガソリンタンクの夕日・一切れ一銭といふ水瓜したたる八月十日朝の山を眺めながら朝酒を味はつた...
種田山頭火 「行乞記」
...・日照雨ふる朝からぽんぽん鉄砲をうつ・晴れさうな竹の葉の露のしたたる緑平老に・あなたのことを考へてゐてあなたのたよりが濡れてきたそこらの嫁さん・麦まきもすんだところでお寺まゐりのおしろい塗つて┐・鋪装道路の直線が山へ...
種田山頭火 「其中日記」
...鋪石(しきいし)の間から一滴一滴とそこにしたたる...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...つきせぬ歴史のしたたる味わいである...
中井正一 「図書館法の成立」
...いろ青ざめて谷間をはしり、夕ぐれかけてただひとり、岩をよぢのぼれるの手は鋼鐵(はがね)なり、ときすべて液體空氣の觸覺に、山山は茜(あかね)さし、遠樹(とほき)に光る、わが偏狂の銀の魚、したたるいたみ、谷間を走りひたばしる、わが哀傷の岩清水、そのうすやみのつめたさに、やぶるるごとく齒をぬらす、やぶるるごとく齒をぬらす...
萩原朔太郎 「岩清水」
...滋味のしたたるような今の御生活が...
長谷川時雨 「平塚明子(らいてう)」
...脚と腕の肉附きから腰の丸味――富士額(ふじびたい)――触覚からいえば柔らかい慈味(じみ)のしたたる味から...
長谷川時雨 「明治美人伝」
...したたるように濡れていた...
本庄陸男 「石狩川」
...あらき山辺にわれ声をきくそは血のしたたる剣の声かと我はおもうたが剣ぞ...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「精」
...美しい海のしずくのしたたる手肢で...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...どこかで水のしたたる音...
三好十郎 「胎内」
...水のしたたる音がポツン...
三好十郎 「胎内」
...得石に向かってしたたるように笑いかけ...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...緑したたる柳の立木が不規則に並んで...
山本笑月 「明治世相百話」
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