...すると暗い竹むらの蔭に絶えず水のしたたる音がする...
芥川龍之介 「野人生計事」
...物言ひが些(ち)と舌蕩(したたる)く聞える許りで...
石川啄木 「刑余の叔父」
...シシリア人はかくして彼の父の霊に血のしたたる犠牲をささげた...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「サレーダイン公爵の罪業」
...その生々しい血のしたたる生皮を一人の男――これには少しばかり頭の鈍い男が選ばれる――が身に纏うて...
知里真志保 「アイヌ宗教成立の史的背景」
...その熱いひたいからしたたる汗を拭いた...
ディッケンズ Charles Dickens 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...身体にしたたる水を拭(ぬぐ)いもやらず...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...すごい火光がしたたるばかりのまっかに焼けた鑿(たがね)を...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...梢(こずえ)にしたたる雨の音が...
夏目漱石 「二百十日」
...その菊はいたみしたたる...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...滋味のしたたるやうな嬉しさだ...
長谷川時雨 「四人の兵隊」
...葡萄棚(ぶどうだな)の下のしたたる朝露のもとに...
原民喜 「鎮魂歌」
...血のしたたるような肉を食い...
古川緑波 「食べたり君よ」
...水道栓からしたたる水の音がきこえるだけであった...
「赤い貨車」
...美しい海のしずくのしたたる手肢で...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...様々の果樹や緑したたる樹々に掩われた高い山を聳(そび)えさせ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...一文字に噛み締めている岩の唇の間から流れしたたる水滴が...
夢野久作 「斜坑」
...指の間からしたたる血汐に着物の前を染めつつ...
吉川英治 「江戸三国志」
...そのうえ姉さんみてえな水もしたたる美人を女房に持ち...
吉川英治 「新・水滸伝」
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