...五十円位の金が出来ないのは何んとも羞(はずか)しいがさりとて...
太宰治 「虚構の春」
...さりとて一概に笑い去り得ぬ節もあるように思われ...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...さりとてははかない酒徒なるかな...
種田山頭火 「其中日記」
...さりとて公務を如何(いかん)ともすることが出来なかった...
田山花袋 「蒲団」
...さりとて出て行きも逃げ出しもできないところは...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「犬を連れた奥さん」
...さりとてお若いとも言えない独身者ですからな...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...さりとて彼女にとっては自分の家庭も無くては叶わぬものだったのである...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...ピグミーを相手にせず、さりとて、これに退却を命ずるのでもなく、彼は彼の為(な)さんとするところに任せ、我は我の為さんとする眠りに深く落ちて行きました...
中里介山 「大菩薩峠」
...さりとて彼等の胆勇は敵ながら尊敬せざるを得ん...
中里介山 「大菩薩峠」
...さりとてその緒口も見付からない時であつたので...
中原中也 「亡弟」
...さりとては長(なが)かりし年月(としつき)...
樋口一葉 「別れ霜」
......
樋口一葉 「別れ霜」
...さりとて来山が腹に乗りて物喰はぬ妻と可愛がられたる女人形のたぐひにもあらず...
正岡子規 「土達磨を毀つ辞」
...さりとて偽善者だと名乗つてそれを打消すにも価ひしないと自分を侮つてゐる...
宮原晃一郎 「愛人と厭人」
...さりとて共産主義にもつきかねて...
宮本百合子 「新しい抵抗について」
...さりとて又、落つるにまかせ、地上の昆虫に醉歌させておくのも、平和冥加につきる氣がしてしかたがない...
吉川英治 「折々の記」
...さりとてまだ安心はしていなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...そのため、忍び男(お)の朝臣は、着るに着る物もなく、さりとて、裸でわが家へ帰りもならず、雑色の布ひたたれを借りうけて、しかも夜が白んでから、こそこそ帰って行ったが、館には、有名なやきもち妬(や)きの奥方がおらるるし、その奥方は妊娠中で、ほかにもたくさんな子がおらるるし、あとの騒動も思いやられ、あわれにもまた、おかしいかぎりではあった...
吉川英治 「平の将門」
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