...さりとて無聊に苦しんだのでもない...
石川欣一 「可愛い山」
...さりとて怒ってばかりもおられず...
伊藤左千夫 「春の潮」
...さりとて、逃げ去らんとする様子もない...
井上円了 「おばけの正体」
...さりとて天狗(てんぐ)の業とも考えられず...
井上円了 「おばけの正体」
...さりとてどこと言ってからだに異状があるのでもない...
大杉栄 「獄中消息」
...さりとてその自分の不得手を人に看破されるのも口惜(くや)しく無理して馬に乗ってはみたが...
太宰治 「新釈諸国噺」
...さりとて話はあまりにも奇々怪々を極め...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...さりとて公務を如何(いかん)ともすることが出来なかった...
田山花袋 「蒲団」
...さりとてさすがにかの言質(ことじち)もありこの顧慮もまたなきにあらずして...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...さりとて、道の真中へ抛(ほう)り出してもおけない...
中里介山 「大菩薩峠」
...さりとて、わざわざ障子をあけて、その図抜けた唄の主の首実検(くびじっけん)をしなければならないほどに聞き慣れた声でもありませんでしたから、これにも一種異様のおかしさをこらえて、そのままおのが座敷の方へと足を進ませてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...さりとて彼等の胆勇は敵ながら尊敬せざるを得ん...
中里介山 「大菩薩峠」
...ちょっと何か用達しに出かけて、やがてまたこの巣へ舞い戻って来るのだという気分は、源松にもはっきりと受取れるが、さりとて、舞い戻るまで、空巣へ網を張って株を守るの愚を為(な)すべきではない...
中里介山 「大菩薩峠」
......
樋口一葉 「さをのしづく」
...余り方正でさりとてトランプのひとり並べはいやですし...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...さりとて何の計(はかりごと)がないわけでもない...
吉川英治 「三国志」
...さりとてまた、のめのめ卯木の実家(さと)を、頼って行けるものでもない...
吉川英治 「私本太平記」
...――徳川どのの肚(はら)としては、あきらかに、この秀吉に、和を講じたいは山々なれど、自分から降参を申し出ては、面目立たぬし、さりとて、なお秀吉に立ち向う理由はおざらぬし……弱っておりますよ...
吉川英治 「新書太閤記」
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