...さらりと屈託(くつたく)の拔(ぬ)けた状(さま)で...
泉鏡太郎 「艶書」
...これまでの行きがかりは、さらりと、」と言つて自分の胸を撫で下ろして見せて、「さらりと水に流す事に致しませう...
太宰治 「清貧譚」
...……・風がすゞしく吹きぬけるので蜂もてふてふも・死ねる薬をまへにしてつく/\ぼうし・草の青さをしみじみ生き伸びてゐる・住みなれて草だらけ・のぼる陽をまつ糸瓜の花とわたくしと・さらりと明けてゐるへちまのはな・朝月はすずしいいろの桔梗がひらく炎天のヱンジンのまはるとゞろき・なんとかかんとか蝿もつれてきて・こゝろむなしくて糸瓜咲く炎天...
種田山頭火 「其中日記」
...さらりと朝湯によごれを流して...
種田山頭火 「其中日記」
...悪夢の断片をさらりと朝湯に流し...
種田山頭火 「其中日記」
...万(よろず)の感情はさらりと消えて...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...あらゆる憂苦もさらりと忘れ去り...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...ところへ入口の唐紙(からかみ)をさらりと開けて...
夏目漱石 「虞美人草」
...今のように未来に御願い申しているようではとうていその未来が満足せられずに過去と変じた時にこの過去をさらりと忘れる事はできまい...
夏目漱石 「倫敦消息」
......
野口雨情 「未刊童謡」
...さらりとした薄い粉白粉(こなおしろい)と...
長谷川時雨 「旧聞日本橋」
...今見たがあゝさらりとやるべきではないと言ふ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...するとかなたの花畑の裏の障子がさらりと明く...
宮本百合子 「田舎風なヒューモレスク」
...さらりとして、自在で、自在であり得るということそれ自体がどんなに中心が確立しているかということを語っているという風だったら見事ねえ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...世帯くさいいろんなものをさらりとすてて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...さらりとした児太郎の顔は...
室生犀星 「お小姓児太郎」
...わたしのこころがそれよりも もつとひろいもののなかへくづれて ゆくのか黎明れいめいは さんざめいて ながれてゆくやなぎのえだが さらりさらりと なびくときあれほどおもたい わたしの こころでさへなんとはなしに さらさらとながされてゆく不思議をおもふたちまち この雑草の庭に ニンフが舞ひヱンゼルの羽音が きわめてしづかにながれたとて七宝荘厳の天の蓮華が 咲きいでたとてわたしのこころは おどろかない...
八木重吉 「秋の瞳」
...これが、余人であったら、このたびの痛事を、こうさらりと、湯茶を呑むように呑みきれまい」かれに熱鉄を呑ませた当人だけに、秀吉はよく相手の気も買っていた...
吉川英治 「新書太閤記」
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