...簾をさらりと揚げて見せました...
芥川龍之介 「地獄変」
...さらりと振(ふ)つて...
泉鏡太郎 「麻を刈る」
...凄じいほど気高い顔が、一目、怨めしそうに六蔵の面(おもて)を視て、さしうつむいて、頸(えり)白く、羅の両袖を胸に犇(ひし)と掻合(かきあわ)す、と見ると浪が打ち、打ち重って、裳を包み、帯を消し、胸をかくし、島田髷の浮んだ上に、白い潮がさらり、と立つ...
泉鏡花 「浮舟」
...さらりと撒(ま)くと...
泉鏡花 「婦系図」
...過去はさらりと水に流すべく候...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...夜明けにはもはや物思いをさらりとすてて起き...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...「あんたを殺したがってる奴がいる」さらりと言って...
高見順 「いやな感じ」
...夜来の雨がさらりと霽れて...
種田山頭火 「其中日記」
...そのときおちやんははじめての訪問のせゐかすこしはにかみながらもいつものさえざえしい笑顔をみせたので今まで背負つてた重荷がさらりと一時におりた...
中勘助 「銀の匙」
......
野口雨情 「未刊童謡」
...投げ入れし一品を誰れにも笑つて告げざりしが好みの明烏さらりと唄はせて...
樋口一葉 「たけくらべ」
...さらりと思い捨て...
久生十蘭 「あなたも私も」
...堅苦しい具足などはさらりと脱ぎ棄てゝ矢庭に主人の木刀をお面に喰つたならば...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...私共は、その時分謂わば財布も一つ、心も一つという工合で、必死の生活をやっていたのであったが、稲子さんは、この布団を背負って行ったということを、そのことがあって既に何日か経った後、ごくさらりと、何かの話の間に交えて私に話した...
宮本百合子 「窪川稲子のこと」
...世帯くさいいろんなものをさらりとすてて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...三よへにさらりたてまはす○びよぼは屏風(びょうぶ)なり...
柳田国男 「遠野物語」
...さらりと、非を覚り、踏み直すこと、また武士らしさぞ...
吉川英治 「黒田如水」
...こういう頭のいい、理性のととのった男が、果たして、実際にのぞんだ場合――国家のため――という以外何もなく、さらりと、若き白骨になれるかどうか?(そこへゆくと――弟の奴は……)彼は、無口な八十三郎の行く手に、骨肉的な――死なしともない不安さを多分に抱いた...
吉川英治 「松のや露八」
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