...人眼(ひとめ)に立つようになってからでは奉公人の口がうるさい今のうちならとかく繕(つく)ろう道もあろうと父親にも知らせずそっと当人に尋(たず)ねるとそんな覚えはさらさらないと云う深くも追及しかねるので腑(ふ)に落ちないながら一箇月(いっかげつ)ほど捨てておくうちにもはや事実を蔽(おお)い隠(かく)せぬまでになった...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...さらさらないのですからね……どうです...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...捨てた本家の財(たから)を数えるような未練な心はさらさらない...
中里介山 「大菩薩峠」
...初代川柳翁の「柳樽」に比肩する気は、さらさらないが、時事川柳という一つのジャンルを切りひらいたのは、私のささやかな自慢でもある...
野村胡堂 「胡堂百話」
...愚痴るつもりもさらさらない...
野村胡堂 「胡堂百話」
...ヨシツネさんの二階借りに行く気はさらさらないのだ...
林芙美子 「新版 放浪記」
...見捨てる気はさらさらないんだから...
久生十蘭 「野萩」
...こちらからそれを追っかけたり捜し求めたりする面倒はさらさらないといった状態に身を委せたのである...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...しかし素直に出て行く気はさらさらない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...故国の首都に帰るつもりはさらさらない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...宝石を盗むためにそんなことをする必要はさらさらない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...もらひ物をくさすわけではさらさらない...
吉川英治 「折々の記」
...宮方の思想やその“世直し”の実現に同調しているわけではさらさらないのだ...
吉川英治 「私本太平記」
...もうその方の憂いはさらさらない」「それでは...
吉川英治 「新書太閤記」
...人に聞かそうためではさらさらない...
吉川英治 「親鸞」
...厭味(いやみ)な所もさらさらない...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...だらだら長生きを考えるということではさらさらない...
吉川英治 「宮本武蔵」
...それは拗者(すねもの)のすねた心ではさらさらない...
吉川英治 「宮本武蔵」
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