...その間に雨に打たれ霜にさびた山寺に休んだ...
安倍能成 「初旅の残像」
...翁(おきな)さびたる咲(ゑ)まひがほ...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...下からさびた丸い鉄ぶたがあらわれた...
海野十三 「海底都市」
...さびた鉄の扉だった...
海野十三 「時計屋敷の秘密」
...あるのは瓦や石っころやさびた鉄ばかり...
海野十三 「ふしぎ国探検」
...溝(どぶ)のさびた水が動いて行く提灯の光にかすかに見えた...
田山花袋 「田舎教師」
...「ひえさびたる趣」を愛したのであるが...
寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
...さびた皺嗄れた声でうたつた...
永井荷風 「谷崎潤一郎氏の作品」
...道の上にも下にも明治初年ごろのヨーロッパ各国人の居留館が、熱帯・亜熱帯植物の植え込みに囲まれ、もう年代も経ったこととて、塗料もはげたり、さびたりして、しっとり落ち着いて、窓に赤い熱帯らんの花がおいてあったりする...
永井隆 「この子を残して」
...岩に苔(こけ)むしてさびたるところなれば...
中里介山 「大菩薩峠」
...青菜は軟かに見えるけれどそれがどうしてもさびた冬の色である...
長塚節 「教師」
...捨てられた赤さびた鑵詰の匂いをかぐと...
林芙美子 「美しい犬」
...苔(こけ)さびた石の門をはいると...
久生十蘭 「あなたも私も」
......
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...その小さなものさびた鉦の響が...
水野仙子 「醉ひたる商人」
...それは前世紀の遺物として珍重するべきかの「風流」なるものと等しく物さびたある批評家達の頭であろう...
横光利一 「新感覚論」
...音ずれは松にこと問う浦風の落葉衣の袖そえて木蔭の塵(ちり)を掻(か)こうよ所は高砂(たかさご)の――祝謡(いわいうた)の一ふしを戦場鍛えのさびた喉(のど)で...
吉川英治 「新書太閤記」
...柔らかに枝を垂れている濠側の柳、淀(よど)んだ濠の水、さびた石垣の色、そうして古風な門の建築、――それらは一つのまとまった芸術品として、対岸の高層建築を威圧し切るほどの品位を見せている...
和辻哲郎 「城」
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