...閏土! ずいぶん昔のことですね」この時わたしの頭の中に一つの神さびた画面が閃き出した...
魯迅 井上紅梅訳 「故郷」
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伊良子清白 「孔雀船」
...赤さびた鉄骨林の上...
大江鉄麿 「河の上の職場」
...優雅な物さびた土塀がある...
谷崎潤一郎 「二月堂の夕」
...あのさびた掘割の水にももはやあの並蔵の白さはうつらなかった...
田山花袋 「日本橋附近」
...血のなかにさびたその銅貨ほどいまわしいものが...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...良い幕ねえ」「何?」少しさびた...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...鉄色にさびた街路樹の梢にしみじみ雀のつぶてを見た...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...苔(こけ)さびた陰気な石の門が...
久生十蘭 「あなたも私も」
...山姥の力餅売る薄(すすき)かななど戯れつつ力餅の力を仮(か)りて上ること一里余杉樅(もみ)の大木道を夾(はさ)み元箱根の一村目の下に見えて秋さびたるけしき仙源に入りたるが如し...
正岡子規 「旅の旅の旅」
...ひとふりの大きなさびた剣などが...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「予言者の家で」
...よこの男は腕ぐみしながら靜かにさびた聲で...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...荒(す)さびた心にならうとは思はない...
吉川英治 「折々の記」
...音ずれは松にこと問う浦風の落葉衣の袖そえて木蔭の塵(ちり)を掻(か)こうよ所は高砂(たかさご)の――祝謡(いわいうた)の一ふしを戦場鍛えのさびた喉(のど)で...
吉川英治 「新書太閤記」
...神さびた額堂の方へスタスタと歩いて行く...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...神(かん)さびた気韻(きいん)に浴する余裕がないのだ――とすれ違った老人が...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...夏木立の神さびた奥へ進んで行った...
吉川英治 「源頼朝」
...雑然と旅衣裳の散らばってる妾達のユーロップ・ホテルの居間の電鈴がさびた音を立てました...
吉行エイスケ 「バルザックの寝巻姿」
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