...さびた二三尺のあることを思へば...
芥川龍之介 「機関車を見ながら」
...手稲山から白石の方へと秋さびた大原野を駈け通った...
有島武郎 「星座」
...閏土! ずいぶん昔のことですね」この時わたしの頭の中に一つの神さびた画面が閃き出した...
魯迅 井上紅梅訳 「故郷」
...工作機械がさびたまま転がっていたり...
海野十三 「骸骨館」
...さびた鉄の扉だった...
海野十三 「時計屋敷の秘密」
...それにさびた水がいっぱいに満ちて...
田山花袋 「田舎教師」
...あのさびた掘割の水にももはやあの並蔵の白さはうつらなかった...
田山花袋 「日本橋附近」
...二人とも死人のしなびた体の真中から突き出しているらしい異様な物に目をみはつていた……それはだんだん見ているうちに十七世紀の剣のかなりさびた鉄の柄だということがわかつてきた……その剣が体を完全に突きとおしているのであつた...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「とけない問題」
...松の下に黒くさびた鉄灯籠(かなどうろう)が名の知れぬ赤石の上に...
夏目漱石 「草枕」
...ランマンと咲いた地球の上にランマンと飛ぶ雪の砲丸さあゐつぱいの力だゐつぱいに足をふまへて私はせいゐつぱいに弓を張らう!酔ひどれ女鉄くづのやうにさびた木の葉がハラ/\散つてゆくと街路樹は林立した帆柱のやうに毎日毎日風の唄だ...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...苔(こけ)さびた陰気な石の門が...
久生十蘭 「あなたも私も」
...自分の おうちに そろり 近づきながら にぎりしめるのは さびた 大きな かぎ...
ベアトリクス・ポッター Beatrix Potter 大久保ゆう やく 「きつねめさんのはなし」
...その神さびた森はすべてのものを吸い込んでしまうような底知れぬ静かさだ...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...ふと見つけ出した荷車のさびた古釘を取り上げ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...遠いようで近い声――さびたる音声(おんじょう)でまた弱々しげな声でもあります...
吉川英治 「江戸三国志」
...荒(す)さびた心にならうとは思はない...
吉川英治 「折々の記」
...苔(こけ)さびた石橋(しゃっきょう)が望まれ...
吉川英治 「新・水滸伝」
...そうしてさらに門内に歩み入って、古風な二つの門と、さびた石垣と、お濠と土手とだけでできている静寂な世界の中に立つと、我々の離れて行こうとする世界にもどれほど真実なもの偉大なものがあったかを感ぜずにはいられないであろう...
和辻哲郎 「城」
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