...ささくれて、赤くかわいた口びるからもれ出るあの囈言(うわごと)……それがどうかすると近々(ちかぢか)と耳に聞こえたり、ぼんやりと目を開いたりするその顔が浮き出して見えたりした...
有島武郎 「或る女」
...牡丹の幹は茶色にささくれ始めていた...
梅崎春生 「黄色い日日」
...百日紅(さるすべり)は枝々の股(また)からささくれのようなひょろひょろした若葉を生やしていた...
太宰治 「彼は昔の彼ならず」
...鼻毛と指先のささくれ...
豊島与志雄 「塩花」
...靴の皮が一遍にささくれだってしまう...
中谷宇吉郎 「黒い月の世界」
...そのささくれた繊維の端で欲しい雪の結晶を吊(つる)して綺麗な硝子板の上へ持って来ることになったのであるが...
中谷宇吉郎 「雪雑記」
...あるいは吹き散らされながら、塊まって、白く柔かな針を集めたように、ささくれだつ...
夏目漱石 「三四郎」
...彼はまだささくれた洋筆先(ペンさき)で...
夏目漱石 「道草」
...母の着物も、ささくれて来た...
林芙美子 「新版 放浪記」
...抜けたようにささくれて...
林芙美子 「清貧の書」
...ささくれを針のさきで...
原民喜 「心願の国」
...ささくれた折襟から...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「墓地へゆく道」
...生気を喪つて少しささくれた毛並は...
三好達治 「測量船」
...指のささくれや手のよごれはともあれ...
室生犀星 「荻吹く歌」
...ささくれを抜(ぬ)いて...
室生犀星 「生涯の垣根」
...使い古してささくれたのは削ってまた共衿の縫目へ差しておく...
矢田津世子 「神楽坂」
...唇は乾いてささくれていたし...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...ささくれ立った床(ゆか)の裂け目から何だか奇怪な物凄いような煙りが立ち昇って来て...
リットン Edward George Earle Bulwer-Lytton 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
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