...腹の痛むのをこらえるような姿で古藤の前を通りぬけた...
有島武郎 「或る女」
...しかし葉子はすでにそれをじっとこらえるだけの冷静さを回復していた...
有島武郎 「或る女」
...うーむ」沖島は、痛さを、こらえる...
海野十三 「地底戦車の怪人」
...大きな苦痛をこらえるところに...
江戸川乱歩 「探偵小説の「謎」」
...彼はこらえることが出来ないで身を慄わして慟哭(どうこく)した...
相馬泰三 「六月」
...どんな苦しいことでも、こらえる...
太宰治 「火の鳥」
...喫はないでこらえる……これは私の心境の平静をあらはすものであるが...
種田山頭火 「其中日記」
...この恩愛の別離の悲嘆を、こらえることが、武士らしい態度だと、信じていた...
直木三十五 「南国太平記」
...どうかして朝までと必死にこらえる...
中勘助 「胆石」
...強(し)いて癇癪をおしこらえるように...
中里介山 「大菩薩峠」
...仮りにも自分よりは一段下に居るべき者だと思って居る女の前で益々乗ぜられる様な素振りを現わす事はこらえる丈の余裕は有った...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...達ちゃんポロポロ汗を流し(足のいたいのをこらえるため)眼をキラキラさせて(これはうれしさもあり)皆にあおいで貰っています...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...こらえるほど烈しい震えようがした...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...女と云うものは涙をこらえることの出来るものである...
モルナール・フェレンツ Molnar Ferenc 森鴎外訳 「破落戸の昇天」
...それをこらえるために力限り手を握り緊めた...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...総毛だつおののきをこらえるのに全力で...
吉川英治 「江戸三国志」
...こらえるとか、堪忍とか、二人はいっているが、彼自身は、生来の性質が微温的にできているのか、実際、朱雋の命令にしてもそう無礼とも無理とも思えないし、怒るほどに、気色を害されてもいなかったのである...
吉川英治 「三国志」
...青白い皮膚にはこらえる汗が膏(あぶら)となって滲(にじ)みでる...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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