...萩の葉毎には觸れてこぼれる白露が置いてゐたのだ...
岩野泡鳴 「日高十勝の記憶」
...こぼれるように咲いていた...
太宰治 「春昼」
...ぬかるみをもどる・しだれざくらがひつそりとお寺である・釣瓶の水がこぼれるなつめの実(追加)四月十日曇...
種田山頭火 「其中日記」
...□酔ひどれはうたふ――(アル中患者の句帖から)――・酔ひざめの花がこぼれるこぼれる彼が彼女にだまされた星のまたたくよ・さうろうとして酔ひどれはうたふ炎天・ふと酔ひざめの顔があるバケツの水アルコールがユウウツがわたしがさまよふ・ぐつたりよこたはるアスフアルトのほとぼりもいつしかあかるくちかづいてくる太陽・酔ひきれない雲の峰くづれてしまへ七月二十四日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...イワンは麦粒のこぼれるのを少くするために...
トルストイ Tolstoi 菊池寛訳 「イワンの馬鹿」
...大きないががぽかりともげてばらばらとこぼれるのをとんでいって草のなかを捜してるとき落ちてきた枯れ毬(いが)にいやというほど頭を打たれ なるほど と昔の智慧を思いだして羽織を頭からすっぽりかぶる...
中勘助 「島守」
...涙がこぼれるほどだと譬(たとえ)に云うが...
夏目漱石 「坑夫」
...煮えこぼれるやうな憤懣(ふんまん)を感じて居るのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...事件はお釜(かま)の湯が煮えこぼれるような...
長谷川時雨 「柳原※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子(白蓮)」
...だしの煮こぼれるまで...
林芙美子 「小さい花」
...こぼれるのかあたしにもわからない...
久生十蘭 「だいこん」
...けれどもお互ほかの神さまを信ずる人たちのしたことでも涙がこぼれるだらう...
宮沢賢治 「銀河鐵道の夜」
...けれどもお互(たが)いほかの神(かみ)さまを信(しん)ずる人たちのしたことでも涙(なみだ)がこぼれるだろう...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...女の心を動かそうとして嘘(うそ)泣きをした平仲(へいちゅう)ではなくて真実の涙のこぼれるのをお覚えになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...かみさんの綺麗なおはぐろ歯が笑みこぼれる...
吉川英治 「江戸三国志」
...酔った女の耳朶(みみたぶ)のような山茶花(さざんか)が地にこぼれる音すらも...
吉川英治 「江戸三国志」
...ぱらぱらとこぼれる松の雫(しずく)を背に浴びていた...
吉川英治 「親鸞」
...眼を三角にして、青すじを立てていた石権は、見送っているうちに、口惜し涙というのであろう、ぼろぼろと、こぼれるのを、あわてて横腕でこすると、「だ、旦那っ...
吉川英治 「梅里先生行状記」
便利!手書き漢字入力検索