...この時とばかり博士に聞いた...
海野十三 「火星兵団」
...自分たちの窮迫を打開するのはこの時とばかり必死になって訴えるためか...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...見物するのはこの時とばかりに...
高見順 「如何なる星の下に」
...伯父の居候の身分ですから御恩返しはこの時とばかりに...
太宰治 「トカトントン」
...外の女中達は手も出さないのに彼女一人はこの時とばかり貪(むさぼ)り食べると云う風で...
谷崎潤一郎 「細雪」
...この時とばかり著述をやり出した...
戸坂潤 「友情に関係あるエッセイ」
...そのうちに、大勢の命知らずが左右へ散って、がんりきの身体が一つ、真中へちょうどよい塩梅(あんばい)に離れた時分をみすまして、この時とばかり、満々と張った弓を切って放そうとした途端、どう間違ったのか知らないが、さしも手練の小森の矢先が、竹トンボのように狂ってクルクル廻って、右の上の桟敷に張りめぐらした幔幕(まんまく)の上へポーンと当って、雨垂(あまだれ)のように下へ落ちてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...私は、この時とばかり、東大正門前の果物屋(今もあるだろうか)へ飛んで行った...
野村胡堂 「胡堂百話」
...この時とばかり口を揃えて反対を唱えた...
火野葦平 「糞尿譚」
...この時とばかりに自由主義を罵り...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...この時とばかり、警察が群衆をあちこちに追っ払い、ついに静寂を取り戻した...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「死の川」
...この時とばかりに努めて...
牧野信一 「ゼーロン」
...呂布はこの時とばかり...
吉川英治 「三国志」
...夫人は、理(わけ)を聞くと、この時とばかり、薬の代りに糞汁(ふんじゅう)をのませて、良人の背をなでていた...
吉川英治 「三国志」
...かたわらにいた逢紀(ほうき)は、日頃から田豊とは犬猿の間がらなので、この時とばかり、「出陣にあたって不吉なことをいわれる...
吉川英治 「三国志」
...この時とばかりさらに訴えた...
吉川英治 「三国志」
...油断はなりませぬぞ」姜維がかく戒(いまし)めると、楊儀の胸には、この時とばかり、思い出されたものがある...
吉川英治 「三国志」
便利!手書き漢字入力検索