...この人、帰したくない、とか云って遊女(おんな)が、その帯で引張(ひっぱ)るか、階子段(はしごだん)の下り口で、遁(に)げる、引く、くるくる廻って、ぐいと胸で抱合った機掛(きっかけ)に、頬辺(ほっぺた)を押着(おッつ)けて、大きな結綿(ゆいわた)の紫が垂れ掛(かか)っているじゃないか...
泉鏡花 「薄紅梅」
...……この人の小説はもっと読みたいと思っている...
江戸川乱歩 「探偵小説の「謎」」
...この人間もその蠢爾(しゅんじ)たる原始生活を営む時代には...
大隈重信 「現代の婦人に告ぐ」
...この人生に無限の反省を請求しては居るまいか」自分は深く思ひ入つた...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...この人だけが私にとってはまだ人間である...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...而もこの人情に反したことが...
豊島与志雄 「渡舟場」
...自分はこの人の文史通義・校讐通義を讀んだのは明治三十五年が初めてで...
内藤湖南 「章學誠の史學」
...この人手の全然はいっていない原野の中に...
中谷宇吉郎 「アラスカ通信」
...その間の抜けた眼を何処にくつつけてゐたんだね? ほんとにこの人つたら...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...どうかしてるわ、この人...
北條民雄 「道化芝居」
...しかるにこの人間學も今日では最初の動機から逸脱して人間心理の批評といふ固有の意味を抛棄し...
三木清 「人生論ノート」
...「この人は私大好き...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...この人がいては一晩でもほかにいる間は気がかりで苦しくてならない」こう女房へお言いになりながらしばらく若君をお慰めになってから出てお行きになる宮の御様子は見ても見ても飽くことのないほどお美しかったのが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...この人の祖父の安民という人は...
柳田国男 「故郷七十年」
...ペトログラードのネバ河口に在る信号所の地下室にこの人間レコード製造所が在ることを日本の機密局では大戦以前から知っていて...
夢野久作 「人間レコード」
...浄瑠璃の老婆は傍から、「この人は、そら、あそこに見えるあんたさんのいられたお家の人ですよ...
横光利一 「旅愁」
...ここの人々がつねの如く孜々(しし)として汗と泥にまみれていると...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...四十七歳からは、何に感じたのか、一切弓矢を取らず、たとえば足利将軍の義昭(よしあき)が、好餌をもって誘っても、信長がしきりと招いても、豊臣氏が赫々(かっかく)と覇威を四海にあまねくしても、その大坂、京都のつい鼻の先にいながら、この人物は、(わしは、つんぼでござる、唖(おし)でござる)というように、世の中から韜晦(とうかい)して、穴熊のように、この山間の三千石を後生大事に守って出なかった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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