...ぬき足さし足こっそりと紡車のところへしのびよって...
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen 矢崎源九郎訳 「絵のない絵本」
...しかし媛(ひめ)が、またこっそりと、ほかの首飾りのきれをわたしてくだすったので、大国主神は、その晩もそれでむかでやはちを追いはらって、また一晩じゅうらくらくとおやすみになりました...
鈴木三重吉 「古事記物語」
...こっそりとむくの実と赤土とをわたしてお行きになりました...
鈴木三重吉 「古事記物語」
...チュガ公を帰してやった茂太郎は、足を洗い、濡れた着物をぬいで、台所の隅へ行き、乾いたのと着替えてから、こっそりと、おまんまを食べてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...こっそりと煙草をのむ稽古をした...
中島敦 「プウルの傍で」
...こっそりと多くのものを片づけるものだ」と...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...そして、自分自身の強さが増してくるにつれて自分の迫害者の強さがそれに比例して減っていくように私が信じたのは、ただ気のせいであろうか? それがいずれにしろ、私はいまや燃えるような希望の霊感を感じはじめ、とうとう、こっそりと、このうえ決して服従して奴隷(どれい)扱いにされまいという断固とした決心を固めたのであった...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「ウィリアム・ウィルスン」
...実はいつの間にやら他人の妻を偸(ぬす)まれて何処ぞへこっそりとお姿を暗(くら)ましてしまわれたのであるという事が分かったのは...
堀辰雄 「ほととぎす」
...それからこっそりとお嬢さんの方をふり向いた...
堀辰雄 「ルウベンスの偽画」
...赤シャツの農夫はまたこっそりと自分の腕時計を見ました...
宮沢賢治 「耕耘部の時計」
...わたしはこっそりと...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...彼の枕の下にこっそりと施しのお金をおしこんだ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...お春に隠してこっそりと帯〆だの半襟のような小物を買うてやるのだったが...
矢田津世子 「女心拾遺」
...それが今でも人に知られずこっそりと...
柳田國男 「日本の伝説」
...その晩こっそりと相談をしていた」「親分...
吉川英治 「江戸三国志」
...本丸の寝所からこっそりと外へ忍んで出ました...
吉川英治 「江戸三国志」
...「おや、お帰り」お仙は、風呂から上がって、こっそりと、厚化粧をしていた...
吉川英治 「治郎吉格子」
...彼は時々、こっそりと、館の裏へ抜け出して、加茂川の中に身を沈め、独りジャブジャブと夜を水に遊ぶ習慣をもっていた...
吉川英治 「平の将門」
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