...葉子の心はわれにもなくふとぐらつきかけたが...
有島武郎 「或る女」
...ぐらつきはじめているのだからね...
太宰治 「惜別」
...容易にぐらつきそうもない石がずる/\と手に着いて引き出せる...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...――近来、疳の虫が出てきてゐる、いろ/\の事に腹が立つ、つまらない事が癪に障る、昨夜も胸中むく/\があつたので、それには何のかゝはりもない樹明君に対して礼を失したに違いないと今朝考へて恐縮してゐる、これではいけない、私は行乞のおかげで、怒るといふやうなことは忘れてゐたのだつた、もつとも、熊本では特殊の理由から疳癪玉を破裂させたが、それからはまことにおとなしいものであつた、それがM君の事やS君の策やH君の態度などによつて、ぐらつきだして、しだいにむしやくしやをかもしだすやうになつた、じつさい、腹の立つうちが花かも知れない、癪にさわるものがなくなつては、生甲斐がないやうになるかも解らない、とにかく虫の事だから、よくもわるくも、虫にまかしてをくか...
種田山頭火 「其中日記」
...再びぐらつき初めた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...だんだん経験を積むにつれてこの自信がぐらつき出してきた...
永井隆 「この子を残して」
...こういうぐらつきかたは...
久生十蘭 「蝶の絵」
...……町内随一の大分限(ぶげん)の身代が次第々々にぐらつきだし...
正岡容 「小説 圓朝」
...まだぐらつきはしないかと...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...兀(もつと)も周三は近頃(ちかごろ)恐(おそ)ろしい藝術的(げいじゆつてき)頬悶(ほんもん)に陥(おちい)ツて、何うかすると、折角(せつかく)築上(つきあ)げて來た藝術上の信仰(しんかう)が根底(こんてい)からぐらつくのであツた、此のぐらつきは、藝術家に取(と)りて、最(もつと)も恐るべき現象(げんしやう)で、都(すべ)ての悦(よろこび)も満足(まんぞく)も自負(じふ)も自信(じゝん)も、悉(こと/″\)く自分を去(さ)ツて了(しま)ツて、代(かはり)に恐怖(きようふ)が來る...
三島霜川 「平民の娘」
...グリップスも、栗色、苦み、7095苦労、繰言、くら闇、ぐらつきなどと、語原学上に声が通っているが、己達は聞くのが厭だ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...それは甚だぐらつきやすく倒れそうだし...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...奥羽連合の結束もぐらつきだしたようだ...
山本周五郎 「失蝶記」
...ぐらつき出す主人政職をも...
吉川英治 「黒田如水」
...吉運到来の歓喜は苦もなくぐらつきだした...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...少しその気持のぐらつきを...
吉川英治 「春の雁」
...ぐらつきますで」「崖崩れか」「それ程でもありませんが...
吉川英治 「宮本武蔵」
...余の歯は一本ぐらつきはじめた...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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