...疾駆われ見てありぬ四月の晨(あした)とある農家の厩口(うまやぐち)より曳出さるる三歳駒を馬のにほひは咽喉(のど)をくすぐり愛撫求むる繁き足蹈(あしぶみ)くうを打つ尾のみだれ美し若者は早鞍置かぬ背にそれよ玉揺(たまゆら)わが目の前を脾腹光りてつと駆去りぬ遠嘶(とほいなゝき)のふた声みこゑまだ伸びきらぬ穂麦の末にわれ見送りぬ四月の晨...
伊東静雄 「詩集夏花」
...エミルは元気よくすぐりの藪に近づきました...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...何か私のある種の心をくすぐりつつ...
高見順 「如何なる星の下に」
...輕快に喉をくすぐりながら通過して...
太宰治 「お伽草紙」
...くすぐりあうのを感じていた...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「少年たち」
...また快いくすぐりの感覺から或る悦びが生じてくるのか...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...また快いくすぐりの感覚から或る悦びが生じてくるのか...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...快感をそそるそのくすぐりをであった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...十余人の舞子部隊に命令一下すると、「くすぐり合い」の乱闘がはじまったのは――甲は乙、乙は甲の、丙は丁の、咽喉の下、脇の下、こめかみ、足のひら、全身のドコと嫌わずくすぐって、くすぐって、くすぐり立てる...
中里介山 「大菩薩峠」
...かの大道芝居の道化のくすぐりなどとは凡そ同日に談ずべくもないことを理解しないからである! 同時代の批判は全然そういうことを理解しないで...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...お勢が笑らいながら「そんなに真面目(まじめ)にお成(なん)なさるとこう成(す)るからいい」とくすぐりに懸ッたその手頭(てさき)を払らい除けて文三が熱気(やっき)となり...
二葉亭四迷 「浮雲」
...悪くすぐりに堕するのみであることをおもひ...
正岡容 「初代桂春団治研究」
...よくこうしたくすぐりを振っていた...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...悪くすぐりでなく...
正岡容 「初看板」
...よく自分たち落語家が高座で言うこのくすぐりをそのままに...
正岡容 「寄席」
...○砒石の中毒は羽毛筆などにて喉をくすぐり食物を吐かしむるが応急の手当なり...
村井弦斎 「食道楽」
...――二つの寝顔は瞳を開けてそして寝床に入った暫らくの間を時々くすぐり合ったり...
室生犀星 「童話」
...すぐその手で猫をくすぐりはじめた...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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