...街々の雪がザクザク融けかかつて來たから...
石川啄木 「病院の窓」
...大分あなたにことの性質がわかつて來たと見えますな...
ヘンリック・イブセン Henrik Ibsen 島村抱月譯 「人形の家」
...(この点においてはかつて一度もマジメな議論をした事のない紅葉は有繋(さすが)に怜悧であった...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...ないという証拠はかつて千三百年前に印度(インド)から……ここに島地黙雷(しまじもくらい)先生もおられるが...
大隈重信 「学問の独立と東京専門学校の創立」
...かつての名探偵のような非現実的な人物でなくなったのは...
十返肇 「日本推理小説の曲り角」
...それはこの都市がかつて統御した全世界の象徴だった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...かつてなかったほどの明るさで...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...洋服の先生はかつて磨いた事もないゴム靴を脱捨(ぬぎすて)て障子を開けて這入(はい)ると...
永井荷風 「監獄署の裏」
...どうやら私は一寸熱帶の魔術にかかつてゐたやうである...
中島敦 「環礁」
...路上に立はだかつて...
原民喜 「夏の花」
...ポワレはかつて役人で...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...今にもその折目がやぶれかかつてゐる...
堀辰雄 「手紙」
...葦(よし)の穂が伸びかかつてゐる川ふちに...
牧野信一 「繰舟で往く家」
...氷山にぶつつかつて船が沈みましてね...
宮沢賢治 「銀河鐵道の夜」
......
室生犀星 「星より來れる者」
...(b)かつて、酒をすすめられて応じないと野蛮非礼だといわれる或る席にのぞみ、わたしはそこで完全な自由をゆるされていたにもかかわらず、その国の慣わしに従って、同席の御婦人がたのためによいお相手になろうとつとめたことがある...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...これはかつて、人穴城(ひとあなじょう)で竹童(ちくどう)と初対面のときに、問答(もんどう)ちゅうにかれがやってみせたことのある、呂宋兵衛得意の口術(こうじゅつ)、いま、吐(は)いて糸をわたらせた金蜘蛛は、壁にはりついている大蝙蝠(おおこうもり)のそばへはいよったが、それを見ると蝙蝠は、バサリと一すべりして、いきなり蜘蛛(くも)を食(く)いにかかった...
吉川英治 「神州天馬侠」
...よく世間の不遇な人々の中に聞くのは、なぜ人間に生れたろうとか、こんな厭(いと)わしい世はないとか、自分ほど不倖せな生れつきはないとか――何でも人間は皆、自分ほど不運で不幸な者はないと思っているものらしいが、藤吉郎は、まだかつて、世の中を、また人生を、そう観(み)て嘆いたおぼえがない...
吉川英治 「新書太閤記」
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