...こなたの卓子に、我が同胞のしかく巧みに外国語を操るのを、嬉しそうに、且つ頼母(たのも)しそうに、熟(じっ)と見ながら、時々思出したように、隣の椅子の上に愛らしく乗(のっ)かかった、かすりで揃の、袷(あわせ)と筒袖の羽織を着せた、四ツばかりの男の児(こ)に、極めて上手な、肉叉(フォーク)と小刀(ナイフ)の扱い振(ぶり)で、肉(チキン)を切って皿へ取分けてやる、盛装した貴婦人があった...
泉鏡花 「婦系図」
...かすり傷一つ受けてはいませんでした」小林少年が報告を終るのを待って...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...かすりきずができて血が流れ...
江戸川乱歩 「サーカスの怪人」
...もう一つのかすりは...
鈴木三重吉 「桑の実」
...絣(かすり)を自弁でつくったり...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...読めぬ人にはアッシリア文は飛白(かすり)の模様と同じであり...
寺田寅彦 「地図をながめて」
...米琉(よねりゅう)の絣(かすり)の対(つい)の袷(あわせ)に模様のある角帯などをしめ...
徳田秋声 「爛」
...然れども余は不幸にしていまだかつて油画の描きたる日本婦女の髷(まげ)及び頭髪(とうはつ)に対し、あるひは友禅(ゆうぜん)、絣(かすり)、縞(しま)、絞等(しぼりとう)の衣服の紋様(もんよう)に対して、なんら美妙の感覚に触れたる事なく、また縁側(えんがわ)、袖垣(そでがき)、障子(しょうじ)、箪笥(たんす)等の日本的家居(かきょ)及び什器(じゅうき)に対して、毫(ごう)も親密なる特殊の情趣を催したる事なし...
永井荷風 「浮世絵の鑑賞」
...白いあかすりとなり...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...へちまがあかすりになって最後のご奉公をしようと思うのに似ている...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...分をくれともかすり欲しいとも言うわけじゃねえ...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...かすり傷の手當をした歸り...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そのかすりを取ることばかり考えているんだ」「清五郎と七平の暮し向きはどうだ」「野幇間(のだいこ)を稼業のようにしているくせに近頃は大変な景気だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...かすり傷一つこしらへるのも怖ろしくてたまらないのだ...
林芙美子 「雨」
...村山は絣(かすり)を専(もっぱ)らにするという工合(ぐあい)です...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...琉球の織物に似せて作った絣(かすり)を意味します...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...阿波藍(あわあい)を用い丈夫を旨として出来る絣(かすり)であります...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...沖縄の織物で最も驚歎すべきものは絣(かすり)の類です...
柳宗悦 「民藝四十年」
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