...翠(みどり)かすむ筑波(つくば)の山も...
饗庭篁村 「隅田の春」
...その活(い)き活(い)きした目がかすむのを井筒屋のお貞が悪口(わるくち)で...
岩野泡鳴 「耽溺」
...おぼろにかすむはざまかな...
アルフレッド・ドゥ・ミュッセ Alfred de Musset 上田敏訳 「春夜」
...遙かにかすむ対岸には...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...はるかかなたの空にかすむ山頂まで無限につづいている光景は...
江戸川乱歩 「影男」
...月にかすむように...
江戸川乱歩 「月と手袋」
...かすむ目で見つめていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...宿なきまゝに、ありとも、十分に食を得ざるまゝに、鷄をかすむ...
大町桂月 「猫征伐」
...四十年の過去をふり返って見ると茫として眼(まなこ)がかすむ...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...遠く眼がかすむような山嶺から...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...彼方(かなた)の空にかすむ工場の建物を背景にして...
永井荷風 「深川の散歩」
...黛(まゆずみ)のようにかすむ山を主従がながめて...
中里介山 「大菩薩峠」
...せめては片戀の娘たちよおぼろにかすむ墓場の空から 夕風のやさしい歌をうたつておくれ...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...かすむ夕べの朧月(おぼろづき)よに人顔ほのぼのと暗く成りて...
樋口一葉 「ゆく雲」
...白鳥は地平線に呑まれる迄はるかに見かすむで...
牧野信一 「初夏」
...私の通う計器部はその工場の広い敷地の隅にこじんまりと独立して建てられた小さい建物で各種計器の金属部品を種目ごとに精密検査して包装する仕事が当てられており私は成績優秀として検査部の組長格の席が与えられ拡大鏡の下でミクロメエタアつきのゲージに部品を当てがっては最後の合格不合格をきめて行く役目だった拡大鏡をのぞいている眼が過労のために時々かすむすると額の眼の上の所がギリギリギリと痛んで...
三好十郎 「殺意(ストリップショウ)」
...そして正行の冬日にかすむ姿を時々には先頭の遠くに見ていた...
吉川英治 「私本太平記」
...空にかすむ雲雀(ひばり)のねも...
吉川英治 「新書太閤記」
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