...「どこかすみっこにかけさせてもらおう...
ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 「旅なかま」
...はては黴菌(ばいきん)と車塵(しゃじん)とでうす赤くにごらされた巷の霞(かすみ)のなかにその端を沈没させている...
太宰治 「彼は昔の彼ならず」
...眼はだんだんと死魚の眼のように冷くかすみ...
太宰治 「ロマネスク」
...その歩いたあとに霞(かすみ)のようなすじを曳(ひ)いた...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...夕焼の雲と霞(かすみ)とを用ひて遠景を遮断(しゃだん)せしめし所は古代の大和絵巻(やまとえまき)を見るが如く...
永井荷風 「江戸芸術論」
...霞(かすみ)にさした十二本の簪(かんざし)...
中里介山 「大菩薩峠」
...勘次(かんじ)は自分(じぶん)も急(いそ)ぐし使(つかひ)を疲(つか)れた足(あし)で歩(ある)かせることも出來(でき)ないので霞(かすみ)ヶ浦(うら)を汽船(きせん)で土浦(つちうら)の町(まち)へ出(で)た...
長塚節 「土」
...霞(かすみ)を餐(さん)し...
夏目漱石 「草枕」
...匂いこまやかな霞(かすみ)の夜であったろう...
長谷川時雨 「竹本綾之助」
...自まんも恐ろしき胴間声(どうまごゑ)に霞(かすみ)の衣(ころも)衣紋坂(ゑもんざか)と気取るもあり...
樋口一葉 「にごりえ」
...たそがれの光りをあつめた紫色の霞(かすみ)を透して光っていた...
マクドナルド George MacDonald 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...漁師が公魚採りに氷の下へ下して居るかすみ網の終の穴へ寄つて...
正木不如丘 「釣十二ヶ月」
...すみれとてふてふかすみのこめたゆふまぐれ小山のかげの話しごゑ...
水谷まさる 「歌時計」
...東京府南多摩(みなみたま)郡加住(かすみ)村大字宮下にある白沢(はくたく)の図...
柳田国男 「山の人生」
...衾(ふすま)へおまろびなされませいな」「なに」かすみの中のような眸を...
吉川英治 「私本太平記」
...かすみゆく出雲の岸や...
吉川英治 「私本太平記」
...その頃もう馬場のまわりには人か霞(かすみ)かと疑われるほど...
吉川英治 「新書太閤記」
...霞(かすみ)ヶ浦(うら)の常陸岸(ひたちぎし)か...
吉川英治 「旗岡巡査」
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