...墻内よりかすかに讃頌(さんしょう)の声起る...
芥川龍之介 「上海游記」
...かすかに伝わって来るような心もちがした...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...例のモールス信号みたいな合図の音がかすかに聞こえて...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...ボーボーという汽笛の音がかすかに聞えてきた...
高見順 「如何なる星の下に」
...同様に笛を吹く場面でもかすかに笛の音らしいものが聞かれた...
寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
...かすかに笑うのであった...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...お清は時々かすかに身震いをして唇を噛んだ...
豊島与志雄 「黒点」
...白い柔かな産毛がかすかに見られた...
豊島与志雄 「田原氏の犯罪」
...彼は口許にかすかに冷笑を浮べながら...
豊島与志雄 「水甕」
...かすかに頭の上方に聞こえるきりだった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...清い香(かお)りがかすかに鼻を襲(おそ)う気分がした...
夏目漱石 「草枕」
...ヴァーナー医師はかすかにギャっと言った...
H・ビーム・パイパー H. Beam Piper The Creative CAT 訳 「最愛の君」
...かすかに聞こえたのは通りのざわつきか...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「道化玉座」
...かすかに逡巡(しゅんじゅん)するものを感じていた...
本庄陸男 「石狩川」
...鷲の声がかすかに細くきこえた...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「浅瀬に洗う女」
...耳の中はかすかに鳴っているのである...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「衣裳戸棚」
...〕そして青い橄※の森が見えない天の川の向ふにさめざめと光りながらだんだんうしろの方へ行ってしまひそこから流れて来るあやしい楽器の音ももう汽車のひゞきや風の音にすり耗らされて〔〕ずうっとかすかになりました...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...ただ判じのつくのは武者修行の眼だ――死なんとするのを知っているその眼である――血ばしっている中に涙腺はかすかに涙みたいなものを湛(たた)えている...
吉川英治 「宮本武蔵」
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