...家相を見て貰うのにかこつけて...
芥川龍之介 「妖婆」
...「どうしたんです、ね、あなた!」「‥‥」「子供達が云ふことを聽かないで、仕やうがないぢやア御座いませんか?」「‥‥」「聽えないのですか?」「‥‥」「つんぼですか?」「‥‥」義雄が、ふと、惡かつた一方の耳も先づ直つたらしいのを思ひ出してゐると、かの女はつづけて、「たとひかた/\の耳はまだ直らないとしても、一方は聽えるでせう?」「‥‥」「返事をおしなさい! 子供が――」「默れ! 子供は、ほんの、かこつけで、貴さま自身がだらう?」「‥‥」千代子は、所天(をつと)が突然ふり向いて瞰(にら)む鋭い眼の力を受けて、灰色じみた顏色をちよツと赤くした...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...子供の学資にかこつけて...
梅崎春生 「狂い凧」
...それもないのです」幸吉は不運をかこつ様に言った...
江戸川乱歩 「鬼」
...おふさの沈んだ頸足(えりあし)に髮の解(ほつ)れの下(さが)つてゐるのをかこつけに...
鈴木三重吉 「金魚」
...御用事にかこつけなされて...
太宰治 「右大臣実朝」
...事にかこつけては薬屋へ行って...
中里介山 「大菩薩峠」
...常ならば、番頭や書き役が附いて見廻りをなさるはずなのに、今は誰もついていないのみか、わざわざひとり、この藪をくぐって来られた態(てい)にも見えるし、与八に向って、特別に念入りの挨拶をすると共に、杖をとめているのは、何かまた特別に与八に話したいことがあるために、事にかこつけて、人目を避けてこれまで来たもののように見られないでもありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...子供のことにかこつけて云つたことがあつた...
林芙美子 「「リラ」の女達」
...此處(こゝ)かこつけに檢査塲(けんさば)の門(もん)より亂(みだ)れ入(い)る若人達(わかうどたち)の勢(いきほ)ひとては...
樋口一葉 「たけくらべ」
......
樋口一葉 「別れ霜」
...」誰だかこつそり笑声をもらしたものがあつた...
平出修 「逆徒」
...さつきから同じ部屋の隅で退屈をかこつてゐる光子が...
牧野信一 「熱い風」
...市内の診査をかこつけに早々歸つて來てしまふ事もあるし...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...用事にかこつけて...
森鴎外 「蛇」
...技といおうかこつといおうか...
吉川英治 「銀河まつり」
...秀吉は軍務にかこつけて席を去った...
吉川英治 「新書太閤記」
...彼岸の寺まいりにかこつけて侍女たちの群に混って宣教師館を訪れた...
和辻哲郎 「鎖国」
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