...何処でお釣りになツたのです...
石井研堂 「元日の釣」
...そこでホヲリの命が釣道具を持つて魚をお釣りになるのに...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...その晩も、どこかよそで、かなりやって来た様子なのに、それから私の家で、焼酎を立てつづけに十杯も飲み、まるでほとんど無口で、私ども夫婦が何かと話しかけても、ただはにかむように笑って、うん、うん、とあいまいに首肯き、突然、何時(なんじ)ですか、と時間をたずねて立ち上り、お釣を、と私が言いますと、いや、いい、と言い、それは困ります、と私が強く言いましたら、にやっと笑って、それではこの次まであずかって置いて下さい、また来ます、と言って帰りましたが、奥さん、私どもがあのひとからお金をいただいたのは、あとにもさきにも、ただこの時いちど切り、それからはもう、なんだかんだとごまかして、三年間、一銭のお金も払わずに、私どものお酒をほとんどひとりで、飲みほしてしまったのだから、呆れるじゃありませんか」思わず、私は、噴き出しました...
太宰治 「ヴィヨンの妻」
...お釣を受け取るのを忘れるばかりでなく...
太宰治 「人間失格」
...こちと等(ら)は羅漢様からお釣りをもらいてえくれえのものだ」「ちげえねえ...
中里介山 「大菩薩峠」
...鬼からお釣を取るような男ばっかりだと思っていたのに...
中里介山 「大菩薩峠」
...それからお釣を取ろうという信心なのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...四半刻(三十分)ありやお釣錢が來ますよ」「本當か」「やつて見せませうか」「子刻(こゝのつ)(十二時)少し過ぎに源次郎が俺の家の格子の外に立つた時...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...相変らず乞食からお釣銭(つり)の来そうな風体(ふうてい)で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...しかも福沢にとって西南倒幕派はいつまでも「彼らが取って代ったらお釣(つり)の出るような攘夷家」(『自伝』)として映じ...
服部之総 「福沢諭吉」
...鮫(さめ)なと海坊主(うみぼうず)なとお好きなものをお釣りなせえ...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...彼等が代(かわっ)たら却(かえっ)てお釣(つり)の出るような攘夷家だ...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...幕府に較(くら)べてお釣りの出る程の鎖国攘夷...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...私はお釣錢(つり)が無いと云つた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...飲んで食って遊んでお釣(つり)が来ますぜ」「本当だな」「御存じのくせに...
山本周五郎 「花も刀も」
...十円のお釣銭(つり)を出してやった...
夢野久作 「骸骨の黒穂」
...お釣が欲しかったら明日(あした)の朝...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...フランスなんか、勘定はいちいちお客の前で、紙を出して、寄せ算をやってみてから、それから答えを云って、お釣をくれるね...
横光利一 「旅愁」
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