...私は丁度その時祖母に頼まれて婆さんのところに少しばかりの夕食のお菜を持つて行つてゐました...
伊藤野枝 「白痴の母」
...これはうちの旦那さまが丹精していらッしゃるお菜園だよ...
徳永直 「こんにゃく売り」
...ご飯とお新香を買って来ようね」とも子は持って来たお菜を包紙のまま畳の上へ置いた...
戸田豊子 「歩む」
...人に可愛がられて菓子だのお菜(かず)だのをもらふから一日の米二合半の代五銭さへあればいいし...
中勘助 「銀の匙」
...葱(ねぎ)と魚の骨を煮込んだお菜(さい)が並べられ...
永井荷風 「監獄署の裏」
...米とお菜がたくさんに積んであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...新太郎の膳のお菜(さい)の中へ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お女中達の昼のお菜まで判りましたよ」「そんな事はどうでもいい」「ところが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...水を呑んだのは誰と誰だい」「大旦那とお留さんだけですよ」「昨夜のお菜(かず)が鹽辛(しほから)かつたのか」「そんな事はありません」此處まで訊いて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お菜(かず)の足しになりませんよ」「お前は相變らず氣樂だよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お菜があまくてもからくても...
濱田耕作 「異國さかな雜談」
...口(くち)さへ濡(ぬ)らさせて下(くだ)さらばとて洗(あら)ひ濯(そゝ)ぎよりはじめてお菜(さい)ごしらへは素(もと)よりの事(こと)...
樋口一葉 「たけくらべ」
...母が一人で飯(めし)を焚(た)いたりお菜(さい)を拵(こしら)えたりして五人の小供の世話をしなければならぬから...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...口の奢っている彼女たちはその以外のお菜を買って食べることももちろんであるし...
正岡容 「艶色落語講談鑑賞」
...他人事(ひとごと)ながらあんなお菜ばかりたべていなければならない和尚様が気の毒で気の毒で仕方がなかった...
正岡容 「小説 圓朝」
...こういうことがあってもこの節は買出しに行かなければ何一つお菜がない...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...……あん子はそれでも毎日晝飯にかへる親達のお菜づくりを暗い勝手でこさへた...
室生犀星 「神のない子」
...お菜の重詰めも拵(こしら)えた...
山本周五郎 「ちいさこべ」
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