...この「お師匠さん」の一人息子(むすこ)に英語と漢文と習字とを習った...
芥川龍之介 「追憶」
...「お師匠さん、あんたは東の方(かた)ですなあ...
泉鏡花 「歌行燈」
...「あれ、芸が身を助けると言う、……お師匠さん、あんた、芸妓(げいこ)ゆえの、お身の上かえ...
泉鏡花 「歌行燈」
...お師匠さんは次のやうに云はれたさうです...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...それは辰之助が今は隣国で廓(くるわ)のお師匠さんをしている...
徳田秋声 「挿話」
...諸方のお師匠さんの軒下へ立って...
中里介山 「大菩薩峠」
...東流(あずまりゅう)二絃琴(にげんきん)のお師匠さんだったからだ...
長谷川時雨 「神田附木店」
...直ぐ琴のお稽古に近所のお師匠さんの処へ行く...
二葉亭四迷 「平凡」
...「お師匠さんのお許しが出るまでは...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...蛇のなま殺しのようなめにあわせるんですか」「お師匠さんにはあたしの気持がわからないのね」「おりうさん」と男は手を伸ばした...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...「触らないで、お師匠さん」と女はふるえ声で云った、「ごしょうだから触らないで、お師匠さん、それでなくっても辛抱が切れそうなんですもの、お師匠さんに触られたらおしまいよ」「いったいなにを辛抱するんです、おりうさんがもし本当に私を好いていてくれるなら、辛抱することなんかないじゃありませんか」「ひどいわ」女は握られている手を、握られたままやわらかに振った、「――わかっているくせに」「なにがです」「おかみさんよ」と女が云った、「お師匠さんにはちゃんとおかみさんがあるじゃないの、もと柳橋の、――そうよ、この土地の売れっ妓(こ)で、気だてもよし縹緻(きりょう)もいいりっぱな姐(ねえ)さんだったのが、お師匠さんのためになにもかも捨てていっしょになったって」「ちょっと、ちょっと待った」「あたしそんな人にはとてもかなやしないし」と女は構わずに続けた、「かといって、おかみさんのあるのを承知で、そのときばったりの浮気や、囲い者になるのなんかいや、それだけはあたしいやよ」「そのことはまえにもいちど話した」と男がせきこんで云った、「おりうさんが本当にそのつもりならあいつとは別れる」女は握られている手を放した、「うそ、口ばっかりよ」「嘘じゃあない、あいつはひどいやきもちやきだし、飯もろくに炊けず針も持てず、私あもうずっとまえから鼻についているんだ」男はそこで調子をととのえて云った、「嘘いつわりのないところ、あいつとはいつ別れてもいい気持になってるんだから、もしおりうさんが私といっしょになってくれるんなら、明日にでもあいつとは別れてみせる、本当だ」「あたしも御飯なんか炊けやしないわ」「おりうさんにそんなことをさせるもんか」「針も持てないし洗濯や掃除なんかもできやしないわ」女はあまえた声でゆっくりと云った、「おまけにあたし、たいへんなやきもちやきよ、もしかしてあたしがお師匠さんのおかみさんで、お師匠さんがほかの女とこんな逢曳(あいび)きなんかしたら、あたし二人とも生かしてはおかないわ」女は頭へ手をやり銀の平打の釵(かんざし)を抜き取ると、それを逆手に持って云った、「二人ともきっと殺してみせるわ、きっとよ」「うれしいね、うれしい心意気だ」男はひからびたような声で笑い、眼にけものめいた色を湛えながら、上下の唇を舐(な)めた、「おりうさんのような人にそれほど思いこまれれば本望だ、ああいいとも、もしそんなことがあったら殺して下さい、逃げも隠れもしませんから」女は釵を持ち替え、その釵で左の手のひらを静かに打ちながら、「これでね」と囁くように云った...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...歌沢(うたざわ)のお師匠さんのことだって...
山本周五郎 「寒橋」
...本当の仕込みは伯父さん(芝猿丈(しえんじょう))と築地(つきじ)のお師匠さん(藤田勘十郎氏)のお蔭なのですが...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...「お師匠さん」「……ウむ」「もう行きましょうか」「うん」「もう船は見えませんよ」「……ウむ」「腰が抜けてしまったんですか...
吉川英治 「私本太平記」
...死んでもお師匠さんの名は口に出さないときめてたからね」自分はまるでこの中でない圏外にでもいるような彼の明るさなのだった...
吉川英治 「私本太平記」
...寺小屋のお師匠さんに...
吉川英治 「新・水滸伝」
...お師匠さんの大馬鹿...
吉川英治 「宮本武蔵」
...寺子屋のお師匠さんはえらい出世をなさったと...
吉川英治 「宮本武蔵」
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