...お初ではありません...
泉鏡花 「婦系図」
...お初やんが尋ねに出ましょうに」と母親がいう...
鈴木三重吉 「千鳥」
...というのはつまり――このお初(はつ)に知合いになった連中の並はずれた勇敢さだった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...たくさんお初穂を出しました...
新美南吉 「百姓の足、坊さんの足」
...腕の立つに忠義者のお初ですよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...」お初ちゃんがニタニタ笑いながら...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...人を馬鹿にしてやがら!お初は木蔭をはなれると...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...と、お初は、裏梯子の、上りつめたところで立ち止まったが、ふと、その表二階の、すっかり灯の消えた部屋部屋の、一番奥の一間に、かすかにあかりが差しているのを認めた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...と、そのとき、呆れたことには、つい、平馬のうしろまで、いつか、お初の、黒い影が、取ってかえしていたのだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...小の虫だ――お初...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...お初は、かごの中で、青ざめて、唇を噛んだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...問題の木ぶすまを開けて出て、振り返って、おぼろな、裸火で、じっと、お初をみつめて、「ほんとうに、大人(おとな)しくしていてくれなきゃあいけねえぜ」「駄目を押しすぎるよ、いい悪党の癖(くせ)にさ――」法印は、ニヤリとして、締りをしめると、太い止め釘を、ぐっと差し込んだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...二人が兄弟も只(ただ)ならず、懇意だということを、岡ッ引きに告げてやりゃあ、雪さんだって、安穏(あんのん)にいられるわけがないんだ――と、呟(つぶや)いたが、また、考えて、――早まっちゃあ、駄目だよ、初ちゃん、うっかりそんなことをしたところで、もし、雪さんに、あたくしは一々、贔屓(ひいき)のお客の身の上を、しらべておるひまはござりませぬ――そのお人が、どんな素姓(すじょう)か、ちっとも存じませんので――何しろ、多く御贔屓をいただいて、そのお蔭で立ってゆく商売ですからと――あの、可愛らしい口ぶりで、申し立てられてしまったら、それまでじゃあないか――仕返しは、やっぱし、雪さんは雪さん、闇の親分は闇の親分、別々に手ひどい目に合わせてやる外はない――だが、ねえ、お初ちゃん、お前は、こんな目に会いながら、まだまだ雪さんに、あの雪之丞の奴に未練を持っているのではないかい? 無いって! 意気地なし! まだ色気たっぷりなのじゃあないか? なぜと言って、あの窖(あなぐら)の中で、おめえは、何ど繰り返して言っていたのだ? ここを抜け出すことが出来たら、雪さんが狙う敵(かたき)の中で、第一ばんの大物、三斎隠居の屋敷に駆け込んで、何もかも、聴き知っただけ、あらい浚(ざら)いぶちまけてやると、そう心に誓ったじゃないかね! それなのに、今になって、ああしたら、こうしたら――なぞと、迷っているこたあありゃあしない...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「只さえ、どうにかして、浪路さまを現在の御境涯から蹴落し、君寵(くんちょう)を奪おうと、日頃から狙(ねら)いに狙っている女性(にょしょう)たちの耳に、この真相が達した破目には、まるで蜂の巣を、突付きこわしたような騒動が起るは必定(ひつじょう)――しかも、それが、大奥だけに止(とど)まる話であればまだしもじゃが、第一、三斎さま、駿河守さまの、御威勢も、言わば、浪路さまの御寵遇が、預かって力がある筋もござるし、このおふた方の権威が、又、世間の嫉(ねた)みを買うているわけゆえ、結局、どこまで煩(わずら)いがからまってゆくか、見当もつかぬ――それで、さすがの御隠居も、あらわにはお出しにならぬ、大分、御心配の御容子(ごようす)だが――」「でも、妙でござんすねえ――」と、お初が、いぶかしげに、「雪之丞のために、姿をおかくしになったとしたら、あの者を責め問うたなら、お行方は、すぐにおわかりになるでござりましょうに――」「ところが、それが、あの化性(けしょう)もの奴の不敵なところだ」と、門倉平馬は三白眼の白目を、剥(む)きだすようにして、「あれは、悉(ことごと)く御隠居の御信用を得ている上、実にきっぱりと、申しわけをいたしておる――いかにも、浪路さまより、身に余る仰(おお)せをうけたこともござりますが、当方は、河原者、人まじわりもつつしまねばならぬ身、ことさら芸道大切に、これまでとて、女性の肌にもふれておりませぬで、その御懇情(ごこんじょう)だけは、平にお忘れ下さるよう、申し上げたことでござります...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...お初はうなずくでもなく...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...闇の親分ほどの人が、念を入れた手配を潜って、ぬけぬけとわしに顔を見せるとは! しかも、門倉平馬と、さも一味一体らしく――その上、お初が、こちらの力量を、知りすぎるほど知っている癖に、仲間の多くはすでに戦闘力を失い、残っているのは平馬一人、その平馬が、いかに阿修羅(あしゅら)のように荒れたとて、敵ではないにきまっているのに、さも、尚恃(たの)むところありげに、怯(おく)れも見せず佇(たたず)む姿には、必勝を期するものの自信がありありと見えるのだった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...お初を生きながら取りもどし...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...尻尾をつかまえられている相手――怖い相手――お初を捕え得ぬうちは...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
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