...度々釣に出かけると、何だか知れないが、家の者に気兼するやうな風になツて、夜中に、女どもを起すでも無いと、自分独り起きて炊事することも有るですし、よし飯焚を為(し)ないにしても、朝飯とお弁当は、お冷でも善い、菜が無いなら、漬物だけでも苦しうない、といふ工合で、食ぱんのぽそ/\も、噎(むせ)ツたいと思はず、餌を撮(つま)んだ手で、お結(むす)びを持ツても、汚いとせず、極(ごく)構はず屋に成るから、内では大喜びです...
石井研堂 「元日の釣」
...雪の降るより尚(な)お冷い...
泉鏡花 「浮舟」
...そんなことを云ってお冷かしなさいまし...
泉鏡花 「婦系図」
...「お気の毒だがお冷水(ひや)を一つ下さい...
薄田泣菫 「茶話」
...この小発明家はお友達に沸騰散をしこたま飲ませておいて後(あと)からお冷水(ひや)をぐつと一杯煽飲(あふ)らせた...
薄田泣菫 「茶話」
...湯たんぽを入れた足先になお冷たい感じがあり...
豊島与志雄 「古木」
...そして、胸を叩きながら「ああ、苦しい」「小父様、お冷でも?」と、深雪がいって、立上ると「老人の冷水――いや、齢はとっても、桃牛舎南玉、這(は)って参ります、這ってな」南玉は、ごそごそ這いながら、奥の間へ入った...
直木三十五 「南国太平記」
...お冷水(ひや)を」お浜は何もかも夢中で騒いでいます...
中里介山 「大菩薩峠」
...お冷水(ひや)を」「何も要(い)らん」竜之助は額を押えて薬も水も謝絶(ことわ)る...
中里介山 「大菩薩峠」
...お君はそのお冷水(ひや)を口に当てながら...
中里介山 「大菩薩峠」
...なお冷々然として...
中里介山 「大菩薩峠」
...只今お冷を持つて……」言ひ捨てゝ急いで臺所に行つて金盥へ水を一杯汲んで來た...
長塚節 「開業醫」
...エヽ御用の節は何時でもどうぞベルをお押し遊ばして……エヽ便所はすぐこちらでございますから……エヽ明日は汽車にお召しになりませんでエヽ左樣でございますか……それではお冷を只今持參させますからエヽそれではごゆつくり……」といつて番頭は去つた...
長塚節 「開業醫」
...わしはお冷水を貰おう」「そうでしたわね...
平林初之輔 「二人の盲人」
...わが心はなお冷然たりしか...
森鴎外 「舞姫」
...お冷えにおなり遊ばすといけませぬ」侍女(こしもと)たちが...
吉川英治 「剣難女難」
...なお冷めやらぬ朱の眦(まなじり)を吊って云った...
吉川英治 「三国志」
...お冷水(ひや)を一杯下さいませんか」「怖ろしい侍たちでございました...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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