...それから何処(どこ)かをうろついて帰りに京極の牛肉屋で牛肉と東山名物おたふく豆を食った...
高浜虚子 「子規居士と余」
...こんな、おたふくゆえ、縁遠くて、それに二十四、五までには、私にだって、二つ、三つ、そんな話もあったのですが、まとまりかけては、こわれ、まとまりかけては、こわれて、それは私の家だって、何もお金持というわけでは無し、母ひとり、それに私と妹と、三人ぐらしの、女ばかりの弱い家庭でございますし、とても、いい縁談なぞは、望まれませぬ...
太宰治 「皮膚と心」
...いくら私が、売れのこりの、おたふくだって、あやまち一つ犯したことはなし、もう、そんな人とでも無ければ、結婚できなくなっているのかしらと、さいしょは腹立しく、それから無性に侘(わ)びしくなりました...
太宰治 「皮膚と心」
...それに、ごらんのとおりの、おたふくで、いい加減おばあさんですし、こちらこそ、なんのいいところも無い...
太宰治 「皮膚と心」
...私みたいなおたふくは...
太宰治 「皮膚と心」
...こんなおたふくなので...
太宰治 「皮膚と心」
...こんなおたふくの癖に青春なんて...
太宰治 「皮膚と心」
...みっともない二十八のおたふくが...
太宰治 「皮膚と心」
...私は、こんな吹出物して、心まで鬼になってしまっているのだな、と実状が薄ぼんやり判って来て、私が今まで、おたふく、おたふくと言って、すべてに自信が無い態(てい)を装っていたが、けれども、やはり自分の皮膚だけを、それだけは、こっそり、いとおしみ、それが唯一のプライドだったのだということを、いま知らされ、私の自負していた謙譲だの、つつましさだの、忍従だのも、案外あてにならない贋物(にせもの)で、内実は私も知覚、感触の一喜一憂だけで、めくらのように生きていたあわれな女だったのだと気附いて、知覚、感触が、どんなに鋭敏だっても、それは動物的なものなのだ、ちっとも叡智(えいち)と関係ない...
太宰治 「皮膚と心」
...「ちょいと、おたふく、」と彼女はつけ加えた、「帰りにパン屋で大きいパンを一つ買っておいで...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...何しろ、おたふくでも、大道臼でも、竹の台の陳列場のように、裸体(はだか)でありさえすれば人が寄って来る女角力の中へ、美人と名のつけられる代物(しろもの)が一つ舞い下りて来たのだから、助平共が騒があな...
中里介山 「大菩薩峠」
...一久助(きゅうすけ)君はおたふくかぜにかかって...
新美南吉 「嘘」
...おたふくさまそっくりで...
林芙美子 「新版 放浪記」
...阿多福(おたふく)を写せば阿多福を反射せん...
福沢諭吉 「学者安心論」
...あるいは阿多福(おたふく)が思をこらして容(かたち)を装(よそお)うたるに...
福沢諭吉 「学者安心論」
...おたふく頬から取り出したのが...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...M子はのりのつくだにとおたふく豆を...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...別品とおたふくとに...
森鴎外 「雁」
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