...えぐい味のがあって...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...この小坊主にもえぐいのがあって...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...屠殺場の皮剥(はぎ)のようなえぐい顔をした私服の憲兵がブラリとクラブへやってきて...
久生十蘭 「だいこん」
...えぐいだけの憲兵伍長や...
久生十蘭 「蝶の絵」
...それがえぐい顔のつくりをいっそう印象的なものにしている...
久生十蘭 「ノア」
...えぐい顔をした私服の刑事を連れて乗りこんできた...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...私は本当にギロリはこわいのだから)「えぐいところ」の有無の問題...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...私に対する自身へのえぐい眼から第一歩をふみ出すべき種類のものであり...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...ただ私、うれしいのよ笑っているでしょ?」「ははは、そうそう、笑う方がいいんだよ人間はしかしそれにしても、おかしいなあそうやって寝たっきりの光ちゃんがしかもお寺の一人っ子の光ちゃんがどうしてフランス語など習うんだろ?」「だって何を習おうと人間の自由でしょ?」「それは自由だけどさ、つもりがわからない光ちゃんの」「つもりがわからないのは昇さんだって同じだわだってそうでしょ、昇さんは農園の後をついで花作りになるんでしょ?それがどうして工業学校などに行くの」「人間は夢を見る動物なり」「だから人間は夢を見る動物なりあたしだって、こいで人間の内よ」「あっはは!」「ほほほ!」3昇さんが笑う時には眼を糸にして鼻の穴を上へ向け、ノドの奥まで見せてワッハ、ハと、それは良い声をあげるのです二人が笑っているとズッと聞えて来ていた本堂の木魚の音が急に大きくなったと思うと、ガーン・ガーンと鐘が鳴り出した「あっ、いけねえ、小父さんが怒りだした!」と昇さんと私は顔を見合せて、二人で耳をすませながら鼻の穴を開いて臭いをかいでいるのです「ほらね、やっぱりだ」朝のそよ風に乗って腐ったような、えぐいような、ねばりつくようないやないやな臭いが流れて来る昇さんはゲッソリした顔をして「おやじも、いいかげんにしてくれるといいけどね」「どうして、しかし小父さんはそんなに木魚の音が嫌いなのかしら?」「木魚の音などに関係ないと言うんだ花作りが一日に一度肥料の加減をしらべるのはくらしのつとめだからと言うけどねそれは口実さ朝っぱらからコヤシだめをあんなに掻きまわしてこんなにひどい臭いをさせなくても肥料のかげんは調べられるさそうじゃないさ、おやじは小父さんの木魚の音がするとムカムカとガマンができなくなるんだあんだけほかのことでは静かな人間がどうしてあんなに気ちがいじみてしまうんだろ?」「ホントにそうよ内のお父さんだって、ほかのことではそんなにわからない人では無いのよそれがお宅のこととなるとどうしてあんなに直ぐにカッとなるんでしょ?オトナはみんな頭がおかしいんじゃないかしら?」「そうだね、とにかく馬鹿だ、みんな」昇さんがそう言った時に廊下に足音がして「なにが馬鹿だね?」と言いながら私の父がふすまを開けて入って来ました声の調子は機嫌良さそうに作っていますが腹を立てているのは額口に青筋を立てているのでわかります「今日は...
三好十郎 「詩劇 水仙と木魚」
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