...あのうつろを注意しているのだ」二人はそこにしゃがんで...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...爺さんは空洞(うつろ)のやうな眼をして...
薄田泣菫 「茶話」
...剥製の梟のやうなうつろな眼を女の方へ向けて...
竹久夢二 「砂がき」
...池の端の大木のうつろなぞに隠れているうちに...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...―――秋をおきて時こそありけれ菊の花うつろふからに色のまさればさて彼が丹精して作ったそれらの菊の花どもゝすっかり色香が褪(あ)せてしまったその年の冬の...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...暫くはじっとうつろな眼を宙に据えていました...
豊島与志雄 「三つの嘘」
...ははははは……」青木さんはうつろな声(こゑ)で笑(わら)つた...
南部修太郎 「夢」
...乾きたる空洞(うつろ)に響く音は...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...――「かくて今や竜の恐ろしき怒りをまぬかれたる戦士は、かの真鍮の楯を思い浮べ、そが上にしるされたる妖術(ようじゅつ)を解かんとて、竜の骸(むくろ)を道より押しのけ、勇を鼓して館(やかた)の白銀の床を踏み、楯のかかれる壁へ近づきけるに、楯はまことに彼の来たり取るを待たずして、そが足もとの白銀の床の上に、いとも大いなる恐ろしく鳴りひびく音をたてて落ち来たりぬ」この言葉が私の唇から洩(も)れるや否(いな)や――まるでほんとうに真鍮の楯がそのとき銀の床の上に轟然(ごうぜん)と落ちたかのように――はっきりした、うつろな、金属性の、鏘然(そうぜん)たる、しかし明らかになにか押し包んだような反響が聞えたのだ...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...ましてチサノキの花は色白きものなればうつろひぬといへる詞によしなし...
牧野富太郎 「植物記」
...そればかりを思って虚(うつろ)になった心で...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...うつろな穴から五徳が一しょに上がって来た...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...うつろな眼をみはって...
山本周五郎 「柳橋物語」
...それから二十年の年月紅色の花にうつろう愁いは...
横光利一 「夜の靴」
...大きなうつろを味方にまねき...
吉川英治 「私本太平記」
...半面のうつろがあったものかと...
吉川英治 「新書太閤記」
...眼がうつろなのだった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...うつろになって、見のがすまいぞ...
吉川英治 「宮本武蔵」
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