...赤々として暮れかゝる入日の影は牡丹花(ぼたんか)の眠れる如くうつろひて...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...まるで空洞(うつろ)の心で目の前の死体を眺めていました...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「消えた霊媒女」
......
大手拓次 「蛇の花嫁」
...洞窟(うつろ)ふかに...
薄田淳介 「白羊宮」
...うつろのやうな肉体を火燵のぬくさにつゝんで読書...
種田山頭火 「其中日記」
...と三時をすぎた静寂の中にうつろな声で獣のようにささやいていた...
豊田三郎 「リラの手紙」
...虚(うつろ)になつてゐる頭から一言一言絞り出すやうに...
中戸川吉二 「イボタの虫」
...そうしてその一つを鳥が啄(つつ)いて空洞(うつろ)にしていた...
夏目漱石 「思い出す事など」
...洞(うつろ)な眼から...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...世のうつろひの迅やかなると云ふ一節が...
林芙美子 「浮雲」
...苦しい息をするたびに心臓とともにあえぎ震える空洞(うつろ)の肺臓からは...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「早すぎる埋葬」
...私はまるで心が空虚(うつろ)になって...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...そのうつろの樫のなかの墓から物に包まれたような声でうたった歌はこうであった...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「精」
...そればかりを思って虚(うつろ)になった心で...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...心は乱れ眼はうつろとなり...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...淋しさに似る虚(うつろ)の下から...
吉川英治 「私本太平記」
...半面のうつろがあったものかと...
吉川英治 「新書太閤記」
...しいんと空虚(うつろ)に痛む...
吉川英治 「松のや露八」
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