...うつつながら夢を見た...
芥川龍之介 「偸盗」
...立花は涙も出ず、声も出ず、いうまでもないが、幾年月(いくとしつき)、寝ても覚(さめ)ても、夢に、現(うつつ)に、くりかえしくりかえしいかに考えても、また逢う時にいい出づべき言(ことば)を未(いま)だ知らずにいたから...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...あとは夢やら現(うつつ)やら...
泉鏡花 「歌行燈」
...制作のヒントが具体的にこの夢現(ゆめうつつ)の中に得られるのが度々でございます...
上村松園 「画筆に生きる五十年」
...酸(す)っぱいような蚊の唸声(うなりごえ)が夢現(ゆめうつつ)のような彼女のいらいらしい心を責苛(せめさいな)むように耳についた...
徳田秋声 「あらくれ」
...それにうつつを抜かして世の人に後ろ指ささるるようなことがあらば...
中里介山 「大菩薩峠」
...うつつ心の出でた時で...
中里介山 「大菩薩峠」
...ああ蹄(ひづめ)の音もかつかつとして私はうつつにうつつを追ふきれいな婦人よ旅館の花ざかりなる軒にくるまで私をゆり起してくださるな...
萩原朔太郎 「青猫」
...なにをうつつをぬかしているのかと...
久生十蘭 「春雪」
...夢うつつのこととて思いきりその煙草を鼻へ吸いこんで...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...現(うつつ)に夢を見て...
二葉亭四迷 「浮雲」
...そして其影が壁の鏡にうつつて幾千の燭火(ともしび)になつて見える...
アンリ・ド・レニエエ Henri de Regnier 森林太郎訳 「復讐」
...ちょうど夢うつつの境にあるように」と...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...自分が夢をみてゐるのを意識される程度のうつつさに眼が醒め...
横光利一 「悲しみの代價」
...有合せの江戸川紙へこんな文字を幾つもうつつに書き散らしてみる...
吉川英治 「江戸三国志」
...まるでうつつに答えながら...
吉川英治 「新書太閤記」
...うつつなのであった...
吉川英治 「親鸞」
...そもそも、こんどの間違いは、郁次郎がわしに包んでいるその秘密一つから起っておるに相違ない」「それに、私の身には、絶えず怖ろしい人間がつき纏(まと)っておりますので、昼間も、油断をして歩けませぬ」「そうか、悪魔は、そなたまでを、狙(つ)けているか」「今も、方丈様が、尺八を聞かせて欲しいと仰っしゃるので、うつつに、吹いておりますと、覆面をした妙な男が、庫裡(くり)の横をうろついていたというので、そっと、墓地の中へ、抜け出してきたのでございます」「覆面の男?」「寺男のいうには、若い、浪人ふうの男だそうです」「それが、悪魔の首領だ」「えっ、悪人のかしらですか」「しかし、案じることはない...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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