...武州公は色仕掛(いろじかけ)で婦人の信頼を贏(か)ち得るような柄(がら)でもないし...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...「木間星箱根鹿笛(このまのほしはこねのしかぶえ)」と云ふ脚本中の毒婦は色仕掛(いろじかけ)で欺した若旦那への愛想尽(あいそづか)しに「亭主があると明(あ)けすけに...
永井荷風 「虫干」
...「それがただ殺すだけでないんです、いろじかけで、男の自由を奪っておいてからやるんですよ」と津川は唇を舐(な)めた、「あぶなく助かった男の話なんですがね、初めに娘のほうから恋をしかけて、男に寝間へ忍んで来させる、それから相当ないろもようがあるらしいんだが、すっかり男がのぼせあがって、無抵抗な状態になったとき、釵(かんざし)でぐっとやるんだそうです」登は眉をひそめ、低い声でそっとつぶやいた、「男に裏切られたことが原因なんだな」「赤髯のみたては違います」と津川がまた唇を舐めて云った、「一種の先天的な色情狂だというんです、狂気というよりも、むしろ狂的躰質だと赤髯は云っていますよ」登の頭に殺人淫楽(いんらく)、という意味の言葉がうかんだ...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
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