...それを見ると葉子は骨肉(こつにく)のいとしさに思わずほほえませられて...
有島武郎 「或る女」
...不思議な憎しみといとしさがこんがらかって葉子の心の中で渦巻(うずま)いた...
有島武郎 「或る女」
...そう思うと葉子の心はいとしさから激しいいとわしさに変わって行った...
有島武郎 「或る女」
...土つきし靴のいとしさや烏麥南からふいてくる暖かい風がネルのキモノの袖口をふく晩春初夏のころの郊外はまたなくうれしいものだ...
竹久夢二 「砂がき」
......
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...またその體の中にその戀心のかたまりの呼吸つきつゝあるのを思ふとたまらなくいとしさがまさつてでも來るらしく...
田山花袋 「道綱の母」
...自転車でかよっていたとき、よろずやの前にさしかかると、あわてて走りだしてきていた松江、よく、波止場(はとば)の上まで出てきて待ちうけていたソンキ、三日に一度はちこくする仁太(にた)、おしゃまのマスノ、えんりょやの早苗(さなえ)、一学期に二度も教室で小便をもらした吉次、と、ひとりひとりの上に思いをめぐらしながら、よくぞあのチビどもが、思いきって一本松までこられたものだと思うと、あの日の、ほこりにまみれた足もとなど、思いだされて、いとしさに、からだがふるえるほどだった...
壺井栄 「二十四の瞳」
...佐野家は一人息子いとしさに...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...新昇(しんしよう)のサロンに來り夜おそく口笛を吹く我のいとしさ...
萩原朔太郎 「短歌」
...』この時矢のやうに走つたいとしさが民子の胸を震はした...
水野仙子 「夜の浪」
...何故に?我身のいとしさ故...
宮本百合子 「大いなるもの」
...そういう無垢な美しさそのいとしさに私はうち倒されるようでした...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...妻のいとしさのそういう苦しみが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そのいとしさ美しさ優しさは何といっていいか分りません...
室生犀星 「あじゃり」
...その子供のしたことはわたくしの石面をなでると同じいいとしさのあまりである...
室生犀星 「庭をつくる人」
...わが子可愛さいとしさの余りにこれを井戸に投げ入れ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...そちは抱えている乳呑みの父(てて)なし子いとしさに...
吉川英治 「大岡越前」
...いとしさがこみあげて来て...
吉川英治 「宮本武蔵」
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